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次のシリア戦までに修正できるか?
本田と香川のビミョーな距離感。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/01/11 11:40

次のシリア戦までに修正できるか?本田と香川のビミョーな距離感。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

本田と香川の接近プレーこそ最大の武器なのだが……。

 ピッチを幅広く使って、引いてくる相手をサイドにおびき寄せ、個で崩す狙いがあったのは間違いない。だが、体を激しくぶつけて必死に守備をするヨルダンに対して、コンディションの上がっていない現状では個の力だけで突破することは、やはり難しかった。

 本田と香川は、お互いに近づいてプレーすることで、アルゼンチン戦でも韓国戦でもチャンスをつくってきた。キープしてタメのつくれる本田のほうに香川が積極的に寄っていき、そこから出てくるパスからドリブルで向かうシーンが多かった。リズムと間合いの違う2人による“接近プレー”は強豪相手にも有効だった。その武器が使われなかったことが、攻撃の停滞を招いた要因のひとつであった。

 後半に入ってからは、2人の距離感が多少は修正された。

 後半6分には香川が中に入っていって本田とワンツーを試みている。パスは通らなかったものの、接近して打開を図ろうとする意志を垣間見ることができた。後半13分、岡崎慎司が左サイドに投入されて香川が中央に、本田が右サイドに入ってからは攻撃が活性化した。本田が流動的な動きで中に入って2人の距離が縮まったことが契機となった。

 だが、2人の接近するポイントがゴールから遠く、周りとの連係もかみ合っているとは言い難い。後半から1トップに入った李忠成ともうまく絡めていなかった。

 アルゼンチンや韓国は前がかりにきたが、格下の相手は日本に対して引いて守るのが常。その相手にどのように2人が接近して、攻撃をスピードアップさせて崩すかが今後のカギを握ってくる。

試合翌日、さっそく本田と香川が修正プランを練り始めた。

 試合翌日。ランニングなど軽めのメニューを済ませた本田は、練習後のピッチ上で香川を呼び寄せた。2人の距離のことを、やはり気にしていたのだ。

「距離が遠かったなとは感じました。相手の問題もあるけど、お互いに距離を縮めたり離れたりして、いい間隔であることが大事。ヨルダンも個(の力)があったし、そう考えるとポジションチェンジは必要な部分だと思います。真司とはお互いのいいところを出し合っていきたい。(香川は)俺が一番(攻撃で)絡める選手であるし、俺のプレーにもつながってきますからね」

 修正すべきところがあれば、早めにアクションを起こす。本田に中心選手としての自覚があればこその行動だった。

【次ページ】 本田と香川は2人ともトップ下でありサイドでもある!

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