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次のシリア戦までに修正できるか?
本田と香川のビミョーな距離感。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/11 11:40
ヨルダンの勝利を後押しする、バックスタンドの賑やかな声援がピタリと止んだ。
試合終了間際、ショートコーナーからファーサイドで待ち受けていた吉田麻也のヘディングシュートが決まると、アウェーのカタール・スポーツクラブ競技場は嘆きの声に包まれた。
1-1。日本代表のアジアカップ初戦は、中東の伏兵ヨルダンを相手に何とか追いついて勝ち点1を得た。
この結果をどう見るか。4-2-3-1の2列目中央でプレーし、本来の動きではなかった本田圭佑は試合後、淡々と語った。
「このチームが今やろうとしていることは、引いている相手をどうやって崩すかということ。これだけ引いてくる相手をやっぱり崩せなかった。だけど、初戦としては想定内です。コンディションが上がれば、もっと良くなっていくと思う」
ヨルダン戦で苦戦することは選手たちも覚悟していたのか、本田だけでなくサバサバとした表情を見せた選手がほとんどだった。
長丁場のアジアカップではコンディショニングが重要。
ロシアリーグで戦った本田や松井大輔は1~2カ月ぶりの試合で、ドイツでブレイク中の香川真司は約3週間ぶり。Jリーグの選手もオフに入っていた者、元日まで天皇杯を戦った者など、各自のコンディションがバラバラの状態で初戦に向かわざるを得なかった。
筆者個人としても、初戦から快勝を期待するのは難しいと考えていた。
アジアカップは1カ月の長丁場となる。決勝までのトータルで考えて、試合をこなしながらコンディションを上げていくしかない。コンディション的に一番難しいと思われる初戦を引き分けに持ち込んだことを、むしろプラスに受け取りたい。
しかし、コンディションの問題だけでは片付けられない課題も残った。それは攻撃の軸となる本田と香川、この2人の距離感だ。
2列目の並びは本田を中央にして右に松井、左に香川が入った。
香川は試合前日、「圭佑クンが開いたら中に入っていきたい」と話していたものの、蓋を開けてみれば両サイドが完全に張る形となった。前半、本田がボランチの位置まで下がることはあっても左右に流れることなく、流動的なポジションチェンジも見られなかった。2人が交差する場面がないため、前半は接近してからの連係プレーがほぼなかった。