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10年後にしか分からないことがある。
'03年ドラフトの成否を、今振り返る。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/11/08 10:30

10年後にしか分からないことがある。'03年ドラフトの成否を、今振り返る。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

糸井嘉男は、投手として指名され、打者として大成した珍しいパターン。現在はオリックスの主砲に成長。

ドラフトの成果が現れるまでの時間は短縮されている?

 この'03年以降の10年間をチーム成績で見ると、劇的な変化を遂げているのが日本ハムだ。'94~'03年と'04~'13年の10年間をくらべてみよう。

◇'94~'03年 6位→4位→2位→4位→2位→5位→3位→6位→5位→5位
◇'04~'13年 3位→5位→1位→1位→3位→1位→4位→2位→1位→6位

 Aクラスが3回しかなかった“前10年”にくらべ、'04年以降の“後10年”はBクラス転落がわずか3回で、リーグ優勝4回、'06年には中日を下して44年ぶりの日本一になっている。この上位定着の力になったのがドラフトだ。

 '03年の自由枠・糸井は本格的な打者転向まで5年を要しているが、'09年から4年連続で打率3割をマーク、ベストナイン、ゴールデングラブ賞の常連になっている。この糸井以降、'09年まで毎年チームの戦力になっている選手を獲得している。

◇'04年 1巡・ダルビッシュ有(投手・東北高)、
             4巡・マイケル中村(投手・前ブルージェイズ)
◇'05年 高校生ドラフト1巡・陽岱鋼(内野手・福岡第一高)
              大学・社会人ドラフト4巡・武田勝(投手・シダックス)
◇'06年 高校生ドラフト1巡・吉川光夫(投手・広陵高)
◇'07年 高校生ドラフト1巡・中田翔(外野手・大阪桐蔭高)
              大学・社会人ドラフト3巡・宮西尚生(投手・関西学院大)
◇'08年 1位・大野奨太(捕手・東洋大)
◇'09年 5位・増井浩俊(投手・東芝)

 私はかつて「ドラフトの成果が現れるまで10年かかる」を持論にしていたが、FA制度の導入や、それにともなう若手抜擢のスピードアップ、さらにアマチュア球界のウエートトレーニングの進化などもあり、ドラフトの成果が現れるまでの期間は10年から4、5年に短縮されたと思っている。日本ハムの'06年以降の快進撃はそのことを証明している。

阪神を躍進させた、JFKの獲得。

 セ・リーグでは阪神が'03年以降、チーム成績を上昇させている。

◇'94~'03年 4位→6位→6位→5位→6位→6位→6位→6位→4位→1位
◇'04~'13年 4位→1位→2位→3位→2位→4位→2位→4位→5位→2位

 16年間続いた暗黒時代の残滓が“前10年”の成績にしっかり残されている半面、“後10年”はAクラス6回と健闘している。成績上昇の要因は1つではないが、大きな要素に挙げられるのがゲーム後半に登板するリリーフトリオ、ジェフ・ウィリアムス(J)、藤川球児(F)、久保田智之(K)のいわゆるJFKの存在だ。

【次ページ】 鳥谷、翌年の能見以来、大きな成功例がない阪神。

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