ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
五輪での経験から何を掴んだのか?
清武、宇佐美、山口らの変貌ぶり。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2012/08/28 12:25
ホッフェンハイムのマルクス・バッベル監督は、宇佐美のデビュー戦について、「今日の彼はいつもよりフィニッシュが甘かったと思う。まだ(本調子ではなく)これからということだろう」と語っている。
心に刻まれた「世界と互角に戦える」という自信。
現在の日本代表の中核を成す本田圭佑、香川真司、長友佑都、岡崎慎司らは3連敗した北京五輪組の選手たちだ。惨敗し、悔しさしか得られなかった。
その北京を経験している吉田は、「ロンドン五輪で勝ち進んだという経験は、北京の時とはまるで違うポジティブなもの。これは今後に向けて大きな財産になる」と言っている。
ロンドン五輪では結果的にメダルまでは届かなかったが、世界を相手に6試合を戦った「経験」は、それぞれの選手の心にしっかりと刻み込まれることとなった。それは世界と本気で戦った試合でしか得られない貴重な財産なのだ。そこで抱いた向上心や飢餓感が、山口のゴールのように、プレーや意識の変化として表れているのだ。
もうひとつは、自信だろう。
スペインに勝ち、思った以上に自分たちのプレーが通用した。そして、1試合1試合、勝つことで自信を積み重ねて行った。それがベスト4進出へと繋がった。サッカーは一夜にして突然上手くなることこそないが、自信がつけばプレーはガラリと変わる。それを彼らは今、身を以て証明しているのだ。
ロンドン五輪組から、いつか“バロンドール”も生まれる!?
ベスト4進出という成功体験とメダルを取れなかった悔しさを味わったロンドン五輪世代は、今後、どんな成長を見せてくれるのか――。
彼らが日本代表だけではなく、香川や長友のように世界のビッグクラブで活躍するようになれば、あるいは宇佐美が狙うと豪語していた“バロンドール”を取れるような選手が出てくれば、ロンドン五輪の経験が彼らを変貌させたと必ず言われるようになるだろう。そして、その兆しは、清武や山口に見られるように、すでにあちこちで萌芽しつつある。