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<なでしこ指揮官が明かす勝負の分かれ目> 佐々木則夫 「逆算のマネジメント」
text by
江橋よしのりYoshinori Ebashi
photograph byShigeki Yamamoto
posted2012/08/29 06:01
苦戦が続くも、見事決勝進出を果たしたなでしこジャパン。
躍進の背景には、監督の冷静な戦力分析があった。
戦いを終えた直後、そのプランニングのすべてを語った。
躍進の背景には、監督の冷静な戦力分析があった。
戦いを終えた直後、そのプランニングのすべてを語った。
決勝戦をどういう状態で迎えるか――。
佐々木則夫監督率いるなでしこジャパンは、ロンドン五輪で優勝することを、願望ではなく現実的な目標と定めていた。優勝するためには、たった18人のメンバーで、16日間で6試合をこなさなければならない。大会前の佐々木は、決勝戦から逆算し、6試合をトータルでマネジメントするための知恵を巡らせていた。
「金メダルを取ろうと思ったら、最も必要なのは、選手たちが中2日で6試合をこなせる体と心を養うこと。多少ターンオーバーすることは考えたけれど、試合ごとに先発の顔ぶれや布陣やポジションをあれこれいじるのは、よくない」
誰が出場しても、遜色なく同じようにプレーできる。それが組織力に秀でる日本サッカーの強みであると信じる者は少なくない。実際、なでしこジャパンの選手からも、そのようなコメントを聞く機会が多い。ところが、佐々木は違った。
ベストメンバーは11人。ベストな布陣は1つ。そのベースを決めておかないと、チームは試合ごとにブレてしまい、持てる力を発揮できないまま敗れることもある。大会前の佐々木は、男子高校生や大学生を相手にした強度の高い実戦形式の練習で、選手たちを体力的に追い込み、追い込まれた状態でどれだけ集中して頑張れるかを観察した。そして「決勝で勝つための最適な11人」をギリギリの段階で見極め、起用し続けることを決断したのだ。