欧州CL通信BACK NUMBER
見えてきたバルサとレアルの敗因。
欧州CLを去った両雄のシビアな現状。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2012/05/09 10:31
4月21日にあったクラシコ(1-2でレアルが勝利)におけるグアルディオラとモウリーニョ。対戦する時はいつも試合前にグアルディオラからモウリーニョの方へ握手をしにいっていた。
敗退の原因がメッシにないなら、今後のバルサの課題は?
それ自体は素晴らしいことでもあり、世界最高のアタッカーを最大限に生かした戦いをするのは当然のこと。ゆえに今回の敗因を「メッシ依存」に求めるのは間違っている。真の問題は、1シーズンに数試合の頻度で生じるメッシのゴール欠乏症が生じた際、他に打開策がなかったことだった。
頼みのメッシが最悪のタイミングでゴールの決め方を忘れてしまったこの2試合において、メッシに次ぐ2人の得点源は揃って不発に終わった。セスクは2試合共に先発しながら途中交代を強いられ、アレクシスはクロスバーを叩いた第1レグのループシュートなど少ないチャンスを生かせなかった。
グアルディオラの退任とビラノバの新監督就任に揺れた数日を過ぎ、『ムンド・デポルティーボ』『スポルト』といったカタルーニャのスポーツ紙にフェルナンド・ジョレンテ、ドログバ、ファンペルシといったストライカーの名前を目にすることが増えた。2年前にイブラヒモビッチで失敗して以来、グアルディオラが断念したセンターフォワードの獲得がこれからのバルサに求められているのは間違いないだろう。
ビラノバ新監督の構想にその選択肢があるのかどうかは分からない。だが少なくとも、それがさらなる進化へ向けた1つの可能性であることは確かだ。
では、レアル・マドリーが敗退した理由はなんだったのか?
「週末に休暇を得ていた相手チームに対し、我々は今季最も重要な一戦を戦ったばかりだった。チェルシーを率いてリバプールに敗れた時もそうだった。より多くの勝ち点を稼いでおけなかった我々が悪いのだがね」
敗退が決まったバイエルン戦後の会見で、モウリーニョは直前にクラシコを戦わなければならなかった日程面の不利をやんわりと敗因に挙げた。
確かにドルトムントとの優勝争いを断念して国内リーグでしっかり主力を休ませてきたバイエルンに対し、2試合の間に宿敵との首位決戦を戦ったマドリーのコンディション面の不利は明らかだった。
特に第2レグではシャビ・アロンソが前半の途中から息を切らし、ロナウドが延長戦突入を告げる笛の音と共にピッチに倒れ込むなど、普段は疲れ知らずの鉄人たちがはっきりと疲労の色を見せていた。
だがそれは、モウリーニョが今季貫いたチームマネージメントがもたらした限界でもあったように思える。