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「さばくボランチ」で存在感を示す!
遠藤を追う柏木陽介の自覚と決意。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/02/23 10:30

「さばくボランチ」で存在感を示す!遠藤を追う柏木陽介の自覚と決意。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

浦和レッズのキャンプでは「代表のことを考えても(浦和で)ボランチに定着した方が賢いと思うんで。ヤットさん(遠藤)の後釜に入れたら……」と発言した柏木

遠藤保仁に次ぐ「さばくボランチ」として期待がかかる。

 このように柏木をひと回りたくましくさせているのは、アジアカップの経験と無関係ではあるまい。出場はサウジアラビア戦のみで悔しさも残ったが、それ以上により高いレベルを目指そうとするメンバーと1カ月間濃密な時間を過ごしたことが大きかった。一体感を築くためにチームにどう貢献していかなければならないか、ということも学んでいる。

「(アジアカップでは)すごくいい経験ができた。得たものが多かったし、やらなきゃならないことも分かった。今は代表で定着してやっていくために、日々いろんなことを考えて、自分の足りないところやレッズでの自分の役割をしっかり考えてやるようにしています。チームでボランチという役割を与えてもらっているし、自分の一本のパスで流れが変わるようにやっていきたい」

 アジアカップのザックジャパンには、パスで攻撃を組み立てる「さばくボランチ」が遠藤保仁しかいなかった。その遠藤の代わりとなる候補として真っ先に挙がるのがこの柏木である。サンフレッチェ広島では主に1トップの佐藤寿人を補佐するトップ下、昨季のレッズでもシーズン前半は2列目をこなしたものの、元々、柏木はユース代表のときに攻撃的なボランチ(正確にはセントラルミッドフィルダーと言ったほうがいい)として君臨していた。アジアカップで唯一出場したサウジアラビア戦でもトップ下を務めたが、下がり目から組み立てられるボランチのほうがより特色を出せるはず。遠藤のように攻撃のリズムを変えられるだけでなく、攻守にわたる運動量や視野の広さも活かすことができる。

オフザボールの動きに現れた柏木らしい献身的なプレー。

 サウジアラビア戦での柏木は、裏のスペースに走り込むなど「使われるトップ下」を心掛けていたことで本来の持ち味を出したとは言い難かった。ただ、柏木らしいプレーが随所にあったのも事実。特に岡崎慎司が先制ゴールを奪った場面は、柏木が遠藤にボールを下げて岡崎が動き出し、遠藤のロングパスに合わせて裏に飛び出た岡崎がゴールネットを揺らした。単にボールを下げたわけではなく、岡崎のゴールをイメージできていたからこそのプレーだった。

 ドーハで日本代表をずっと見てきたサッカー解説者の名波浩氏も「攻から守の切り替えが特に柏木は速い。それに周囲を助ける動きや、周りのことをよく考えるプレーをしていた」とサウジアラビア戦でのオフザボールの動きを高く評価していた。メンバーに献身的なプレーを要求するザッケローニも、きっと同じような評価であったに違いない。

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