オリンピックへの道BACK NUMBER
「一番の後悔は…」高梨沙羅が成績不振のウラで、じつは行われていた“ルール改正”…それでもミラノ五輪代表争いは「高梨が中心」と言える理由
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/29 11:11

高梨沙羅は今季、自身初の表彰台ゼロでシーズンを終えた
「いちばんの後悔は…」高梨本人が明かしていたテレマーク問題
テレマークを意識するあまり、それが他の面にも悪影響をもたらしたきらいもある。1月、札幌での個人第10戦で14位にとどまったあと、こう話している。
「ジャンプの内容はそろえられていたと思うんですけど、テレマークを入れることで頭がいっぱいで。テレマークを入れるのを目標にしているので、早く降りようとしているわけではないんですけど、足を前もって準備しておかないといけないと考えながらやっていて、降りる前提の空中姿勢になってしまっています」
同じく札幌での個人第11戦で8位になったあとはこう話した。
ADVERTISEMENT
「1本目も2本目も早く入れすぎようとして後傾になってしまっています」
それらの話は、飛距離でも上位に後れをとる要因の一つとなっていることを示唆していた。
高梨が活躍を始めた頃からすれば、世界的に選手層は厚くなっている。その中で、上位は飛距離を伸ばした上でテレマークを入れてくる。高梨は苦手である理由をこのように話してもいる。
「いちばんの後悔は、小さい頃にテレマークを入れる練習をしていなくて、感覚が分からないことです」
感覚の問題だとすれば、容易に解決するわけにはいかないだろう。ましてや長年の課題としてきたテーマだ。テレマークの克服はシーズンの最後までかなわなかった。