オリンピックへの道BACK NUMBER
「一番の後悔は…」高梨沙羅が成績不振のウラで、じつは行われていた“ルール改正”…それでもミラノ五輪代表争いは「高梨が中心」と言える理由
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/29 11:11

高梨沙羅は今季、自身初の表彰台ゼロでシーズンを終えた
それでも五輪代表争いは、高梨が中心と言える理由
前向きに捉えるならば、来年のミラノ・コルティナ五輪を前にして、プレオリンピックシーズンに貴重な時間を過ごしたとも言える。シーズンを通じて、いやシーズン前の準備の段階から苦しみ、模索したことが来シーズンの糧となるかもしれない。
ミラノ・コルティナ五輪の代表選考はまだこの先だが、全日本スキー連盟が定めるオリンピックの派遣推薦基準はクリアしている。
基準はこのように定められている。
ADVERTISEMENT
2024/2025~2025/2026シーズンのFISワールドカップ、サマーグランプリまたは世界選手権において、基準日までに下記の成績を収めた選手を選出する。
【個人種目】
(1)8位以内の成績を1回以上
(2)10位以内の成績を2回以上
(3)15位以内の成績を3回以上
(4)基準日時点の2025/2026シーズン ワールドカップスタンディングス上位者
*(1)(2)(3)のいずれかの基準を満たした選手の中から、基準日時点の2025/2026シーズン ワールドカップスタンディングス上位者より選出する。(以下略)
高梨は今シーズンのワールドカップだけで8位以内を9回記録している。それに次ぐのは伊藤有希の4度で、日本の選手では高梨がトップの成績だ。むろん来シーズン、高梨を上回る選手が多数現れれば五輪代表争いも話が変わってくるが、現状からすれば高梨が中心にいると言っていい。当然、高梨も代表争いに主眼を置いてはいないだろう。
ずっと悩まされてきたテレマークという課題を、ルール改正もあってより強く突きつけられた今シーズン。その壁を越えれば本来の飛距離も取り戻し、上位争いに加わることもできる。
4度目のオリンピックへ向けて、試行錯誤は続く。
