魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER

「大の里は勝ち方が圧巻でも、負け方がひどい」元大関・魁皇が本音で語る“荒れる春場所”「(また優勝逃した)高安、まだイケるから!」 

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浅香山博之

浅香山博之Asakayama Hiroyuki

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posted2025/03/28 11:05

「大の里は勝ち方が圧巻でも、負け方がひどい」元大関・魁皇が本音で語る“荒れる春場所”「(また優勝逃した)高安、まだイケるから!」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲3月場所、優勝決定戦で高安(左)を破った大の里(24歳)。自身3度目の優勝を果たした

 でも、髙安、まだイケる! イケるから!(*語気強め)充分に力があるんだからチャンスはまた来ますよ。今場所のようにしっかり自分の相撲を取って、敗因を考えて、体のケアもしっかりしながらね。この悔しさを忘れず――って、すぐ忘れちゃうものなんですよ。髙安に限らず、今の若い子たちは悔しい思いをして気持ちを切り替えるのはいいんだけれど、すぐ忘れちゃうから伸びないんですよ。悔しさを味わったら、もっともっと鍛えて「次は優勝する!」「番付を上げる!」との気持ちで、モチベーションを上げなきゃいけない。それは若くても歳を重ねても同じことで、僕も現役時代は毎場所毎場所、常に優勝する気持ちで臨んでいました。「もう、このくらいでいいか」などと思ったことは一度もなかったものです。髙安も、もう35歳というけれど旭天鵬は37歳で初優勝したでしょ? 髙安は今でもあれだけの相撲を取れるんだから、老け込む必要はない。モチベーションを保つのも大変だろうけど、僕は期待しているんですよ。あれ? ついつい髙安について語ってしまいましたね。

「勝ち方は圧巻でも、負け方がひどい」

 3度目の優勝賜杯を手にした大の里。言ってみれば、周りとの力の差があり過ぎるんです。

 前に出るときの圧力と突進力がすごい。当たりがすごくて体ごと持っていってしまいますよね。周りの関取たちも負けないくらいの立ち合いを身につけなきゃいけないところです。 ただ、よく指摘されてもいるけれど、引いてあっさり負けてしまう相撲が何番かありました。勝ち方は圧巻でも、負け方がひどい。以前あった、土俵際の詰めが甘くて回り込まれて負ける癖が直ったと思ったら、今度は引く癖が出てきてしまった。これからは雑な相撲を減らして行くことが課題でしょうが、とにかく千秋楽の二番は本当に強かった。課題を克服した先を考えてみたら、末恐ろしい存在ですよ。

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(構成=佐藤祥子)

<続く>

#2に続く
「同情されるような相撲を取るのはよくない」元大関・魁皇が“ケガの力士”を疑問視「昭和の時代は“ケガは土俵で直せ”が常識だった」

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