マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

「意外なほど“不都合”がない」高校野球“7回制導入”検討で現場指導者が語った「予想外の新提案」の中身…「出場選手が減るデメリットが消える」 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2025/03/27 06:01

「意外なほど“不都合”がない」高校野球“7回制導入”検討で現場指導者が語った「予想外の新提案」の中身…「出場選手が減るデメリットが消える」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今秋の国スポで試験的に導入される高校野球の7回制。一方で現場の声としてはより踏み込んだ改革の提案も? ※写真はイメージ

 十分にレギュラークラスの守備力を持ちながら、打力が伴わずにベンチを温めていた選手にも、場合によっては「ディフェンスの要」としてフルイニングの出場機会が生まれ、それまで埋もれていた才能が、グラウンドで一気に光り輝いて、その選手の新たな野球人生が開かれていく。

 打つのが得意な選手たちがスターティングメンバーに9人並び、フィールディングに自信を持つ選手たちが9人守っているのだから、左中間、右中間に飛んだ弾丸ライナーを、外野手たちが敏捷な反応で横っ飛びのスーパーキャッチ……なんてプレーがそこここに飛び出し、試合展開も今以上に活気のあるスリリングなものにもなろう。

「ボクは力持ちだし遠くに飛ばすのは自信があるんだけど、足が遅いし、守備もモタモタしているから、高校野球は無理かなぁ」と、これまでは腰が退けがちだった「ポッチャリ系」の野球少年たちが、「ボクにも出番があるかもしれない!」と前向きになれば、年々減少傾向といわれる高校野球人口の底上げにもなるじゃないか。

出場選手が増えることで、夏場の負荷も軽減

ADVERTISEMENT

 出ずっぱりの選手が減るのだから、問題視されている夏場の球児たちの体力的負荷も軽減されるだろう。しかし、この点は、肝心の選手がそれを望んでいるかどうか。そこは聞いてみないとわからないし、個人差もあるはずだ。

 ただ7回制に変えるだけでは、人材豊富ないわゆる「強豪」がさらに強くなる方向なのは、目に見えている。

「夏」の環境が過酷になってから、強豪の投手陣に実力の拮抗したエース級が何人も現れるようになり、2人どころか3人、4人と有するチームも珍しくない。

【次ページ】 「リニューアル・ベースボール」も選択肢?

BACK 1 2 3 NEXT

高校野球の前後の記事

ページトップ