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ドジャース新加入の“サイ・ヤング賞投手”ブレイク・スネルが明かした大谷翔平との駆け引き「大事なのは打者を観察する眼だ。ほんの少しの仕草で…」
posted2025/03/26 11:01

昨季、手薄になっていたドジャースの先発陣において、スネルは理想的な大型補強となった
text by

及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Nanae Suzuki
発売中のNumber1116号に掲載の《[エース左腕を直撃]ブレイク・スネル「大事なのは打者を観察する眼だ」》より内容を一部抜粋してお届けします。
ダグアウトからマウンドに上がる瞬間がたまらなく好きだ。舞台にスポットライトが当たり、そこに立った瞬間、視界に入るのは打者と捕手、そして球審だけだ。
サイ・ヤング賞を2度受賞しているブレイク・スネルはその状況をこのように表現する。
「ゾーンに入ったら何も聴こえない。音楽も観客の声も。聴こえるのは自分の呼吸だけだ」
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193cmの長身から繰り出される球は鋭く打者の懐に食い込んでいく。
思わず振ってしまう選手、手が出ず見逃す選手、それぞれの反応を見ながらスネルは投球を組み立てる。
「大事なのは打者を観察する眼だ。何を待っているのか。強みや弱点は何か。ほんの少しの仕草や反応でそれを読み取ることができる」
「データはあくまでも参考程度」と語る理由
データが重視される昨今、大リーグの各チームは試合前に相手を徹底研究し、ゲームプランを決めて試合に臨む。しかしスネルはそれに異を唱える。
「データはあくまでも参考程度だ。人間同士の対決なのだから、データよりも打者の反応を見るべきだ。いい投手は皆、自分と同じ考えだと思う。向き合うべきはデータではなく、目の前にいる打者なんだ」
卓越した観察眼はメジャー9年間で平均11.23という高い奪三振率に表れる。
高い位置から投げ込まれる速球、動きのあるスライダー、落差の大きいカーブ、そしてチェンジアップの4つの球種を巧みに操り、特にストライクゾーンの低めを振らせる技術に長けている。
「試合ごとにコンディションも軸になる球も変わる。でも打者との向き合い方はどの試合も変わらない」
打席での見逃し方、ファウルの捌き方など打者の些細な所作に鋭い視線を送る。
その強いこだわりが稀に与四球に繋がることもあるが、本人は意に介さない。
大谷の反応がスネルの闘志に火をつけた
2023年7月3日、パドレス時代のエンゼルス戦のことだ。スネルは大谷翔平と対戦し、第1打席で97マイル(156km)の速球にスライダーを織り交ぜて追い込んだ後、低めのカーブで大谷からファウルを奪った。
その反応がスネルの闘志に火をつけた。
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の《独占直撃》新加入のCY賞左腕…ブレイク・スネルが語る“エンゼルス”大谷翔平との駆け引き「自分はまだ成長途上だからドジャースに」で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

