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佐々木朗希をめぐるメジャー20球団以上の“争奪戦”…ドジャースを選んだ舞台ウラ「一生に一度の機会をかみしめて…非常に難しい決断でした」
posted2025/03/25 17:00

東京ドームでのMLB開幕第2戦に先発し3回1失点に抑えたドジャース佐々木朗希。メジャー20球団以上が興味を示した23歳の逸材はなぜドジャースを選んだのか?
text by

四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Nanae Suzuki
発売中のNumber1116号に掲載の《[23歳の挑戦]佐々木朗希「一生に一度の機会を」》より内容を一部抜粋してお届けします。
佐々木朗希をめぐる20球団以上の「争奪戦」
昨年12月10日、佐々木が正式にポスティング申請の手続きを終えて以来、メジャーのストーブリーグでは、一斉に「争奪戦」の行方に注目が集まっていた。選手に支払う契約金や年俸の総額が制限される「25歳ルール」が適用される佐々木の場合、マイナー契約でもあり、高額資金が必要とされないため、代理人ジョエル・ウルフ氏の携帯電話には、20球団以上の編成責任者から問い合わせが相次いだ。
SNS上には佐々木の投球動画が流れ、マスコミ、ファンの間でも連日のように推測コメントが相次ぎ、全米中で「Roki Sasaki」の名前が飛び交った。'23年オフ、FA(フリーエージェント)となった大谷の移籍交渉の際、搭乗したと推測されたプライベートジェットがネット上で追跡されたように、昨今のストーブリーグは情報がリアルタイムで一気に拡散していく現代型の流れが定着した。
譲渡金が発生するとはいえ、全球団と交渉が可能な現行制度は事実上、FAと変わりはない。単独交渉権を巡る入札制度で移籍した松坂大輔、ダルビッシュ有らの交渉時には見られなかった、異様な現象だった。
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そんな周囲の喧騒をよそに、佐々木は地に足を着けて、これまでの人生で最も重要な決断へのプロセスを辿った。申請後、ほどなく極秘渡米した佐々木は、代理人事務所「ワッサーマン」のオフィスがあるロサンゼルスで、少なくとも8球団と見込まれる複数のチームと「第一次面接」を行い、絞り込み作業を進めた。交渉場所、時間を一定にしたうえで、現役選手の同席を不可とするなど、全球団と平等に折衝を進めた。
その際、佐々木は、昨季、自らの平均球速が低下した原因分析と対策について各球団へリポートの提出を求めた。メジャーへ移籍するにあたり、自ら「僕の中では全部足りない」と分析する佐々木にとって、目先だけでなく、中長期的な育成プランは最も重要なポイントだった。後日、「今回の交渉では、日本人が在籍しているかどうかは、決断するうえで重要視していませんでした」と明かしたように、自らの野球選手としての将来像が、判断基準の柱だった。