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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
じつは2回にあった佐々木朗希の“異変”「肩で大きく息を…」ドジャース初登板で起きた“押し出し四球”までの異様な緊張感…記者が見た全真相
posted2025/03/21 11:01

3月19日のメジャー初先発。佐々木朗希は3回満塁のピンチをなんとかしのぎ切った
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
“令和の怪物”佐々木朗希が迎えた、メジャーリーグデビュー戦。現地・東京ドームで初登板を見つめた記者によるNumberWebドキュメント(全2回/後編に続く》。
こわばっていた顔がようやく解けたのは、9回のイニング間。“最後の打席”を終え、三塁側ベンチに戻ってきた大谷翔平とひと言、ふた言と会話を交わした後だった。大谷から声をかけられ、いたずらっぽい眼差しを投げかけられた佐々木朗希は、目尻に皺を寄せて白い歯を見せ、初めて無防備に笑った。
23歳で迎えた夢舞台での第一歩だった。カブスとの開幕シリーズ第2戦。佐々木自身が「難しいというか……国際大会で投げているような感覚に近い」と振り返ったように、東京ドームは不思議な空気に包まれていた。球場を充たしていたのは、ドジャースファンの歓喜でも、カブスファンの興奮でもない。スマホを掲げ息を詰めて見守る“観客”の視線と、凱旋した日本人選手への熱狂だった。
マウンドに向かう顔は真っ青だった
三塁側ブルペンから初登板のマウンドに向かう佐々木の顔は真っ青だった。投球練習ではストレートが高めにすっぽ抜け、心を落ち着かせるようにマウンドで小さく跳ね上がっては大きく息をついた。
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あの大谷にして「珍しく緊張した」と振り返った凱旋試合だ。実際に、デーブ・ロバーツ監督は第1戦の試合中に佐々木と話し「凄く気持ちが昂っていて、彼にとって特別な舞台だと感じた」とその異様な緊張感を感じ取っていたという。初登板を控えた前日、佐々木は慣例化している記者会見への登壇はせず、囲み取材にも応じていない。それはデビュー戦へ、集中を貫く口下手な23歳を慮ったチーム側の配慮でもあった。
注目が集まった初球は160kmのストレート。