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「高山俊と陽岱鋼が若手に…」目標は“ドラフト指名”オイシックス新潟のテレビに映らない日常「武田勝監督が気にかける168cm捕手と甲子園右腕」
posted2025/03/08 17:02

オイシックス新潟の選手たちはプロの道を開くため、どんな日々を送っているのか
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広尾晃Kou Hiroo
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Kou Hiroo
高山俊と陽岱鋼が若い選手に声を
オイシックス新潟の春季キャンプ地、静岡県伊豆市の志太スタジアムでは選手たちの明るい声が終始聞こえていた。地元新潟の新聞社が取材を進め、スタンドには十数人だが熱心なファンがカメラを構えて選手を見つめている。メイングラウンドでは、シートノック、内野守備練習、シート打撃と、チーム全体の練習が行われていた。
NPBでは最近、一軍の春季キャンプは10時前くらいに始動して、全体練習は午後1時前にほぼ終わる。個別練習は夕方まで行われるが、オイシックス新潟の全体練習はかなり長い印象だ。やはりチーム全体の戦力を向上させるためには、それなりの「基礎固め」が必要なのだろう。
メイングラウンドでは高山俊と陽岱鋼が、若い選手に声をかけている。若い選手にとって、NPBで実績を残したベテラン2人は「雲の上」の選手かもしれず、いいカンフル剤になっていた印象だ。
黒羽根コーチとフル回転する捕手・中澤
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その中で朝からずっとフル回転している選手がいた。今年、入団した捕手の中澤英明だ。八戸学院光星高から創価大へ。昨年、明治神宮野球大会で創部以来初の準優勝を果たしたチームの主将だった。ドラフトにはかからなかったが、プロへの夢をかなえるべくオイシックス新潟に入った。
午前中は、ブルペンで2人の投手のボールを受ける。投手とコミュニケーションをとりながら1球1球丁寧に受けていた。そのあとは、捕手グループがまとまってノックを受ける。ゴロを受け損なうと、右左にゴロを打たれて、アメリカンノックのように走らされる。中澤は歯を食いしばってゴロを追いかけていた。
短いランチの後はティーからフリー打撃。14時を過ぎて、宿舎に引き上げる選手が出てきたが、中澤はここから黒羽根利規バッテリーコーチのマンツーマンの指導を受けた。投球を受けてから二塁へ送球するフォーム、バント処理の仕方、投手ごとのミットの構え方である。
およそ1時間2人のトレーニングを目の前で見ていたが――実に贅沢な時間だった。