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「笑われてもいいじゃないか」“ぬるま湯クラブ”だったカターレ富山の意識改革「これだけ立派な企業が…なんてもったいないんだ!」左伴繁雄69歳の情熱
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宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
photograph byTetsuichi Utsunomiya
posted2025/01/27 17:01
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クラブにかかわる人々の“意識改革”を促したカターレ富山の左伴繁雄社長。サポーターからの支持も厚い
物販収入は4倍以上に「なぜ今までできなかったのか?」
控えめなメンタリティに意識改革を促しながらも、左伴は富山県民のプライドを覚醒させることも忘れなかった。それが、2022年のユニフォームの胸に描かれた、立山連峰。サプライヤーは、株主にもなっているゴールドウインだ。
「アディダスやナイキみたいなグローバル企業ではないけれど、地元にゆかりのあるサプライヤーだし、さまざまなカスタマイズも対応ができるのが、ゴールドウインさんの強みです。ラグビー日本代表のジャージも作っているから、クオリティも高い。だったら、富山の人が最も誇りに思えるデザインということで、まずは立山連峰のシャツを作ってもらいました」
2024年には国土地理院まで赴き、立山連峰から富山湾までの富山の地形を等高線で表現したデザインのユニフォームを発表。これは歴代で最も売れたという。ユニフォームを含む物販収入は、1年目の2021年は2100万円だったが、24年は9000万円を突破して1億円に迫る勢い。「地方のJ3クラブで、これだけの伸び方をする例って、そんなにはないと思いますよ」と言いながら、その語り口はいたって冷静だ。そして、こう結ぶ。
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「なぜ今まで、できなかったのか? それは経営レベルでも業務レベルでも、きちんとした羅針盤を示してこなかったことが原因ですよ。社員が悪いんじゃない。明確な方針方策を経営陣が示し切れていなかったからだと、僕は思っています」
<続く>
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