箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

「印象に残ったのは2区」「山に特化する考え方は…」箱根駅伝で起きている“ある変化”とは? 駒澤大・大八木弘明総監督が語る「優勝の条件」

posted2025/01/30 11:01

 
「印象に残ったのは2区」「山に特化する考え方は…」箱根駅伝で起きている“ある変化”とは? 駒澤大・大八木弘明総監督が語る「優勝の条件」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

駒澤大学の大八木弘明総監督が、今年の箱根駅伝を語るインタビューの後編

text by

加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

PROFILE

photograph by

Keiji Ishikawa

今年の箱根駅伝では、出雲駅伝、全日本大学駅伝に続く総合2位となった駒澤大学。NumberWebでは総監督として指導に当たる大八木弘明氏にインタビューを実施。ハイレベルな戦いとなった2区や、勝負を分けた山区間の重要性などを語ってもらった。≪全2回の2回目≫

 前編では駒澤大の戦いを振り返ってもらったが、後編では駒澤大総監督という立場を離れ、フラットな目で今回の箱根駅伝をどのように見たかを振り返ってもらおう。

「まず印象に残ったのは2区ですね。3人が1時間5分台を出して区間新というのはすごいことです。なかでも区間2位の吉田響選手(創価大4年)は見事でした。タスキをもらったのが17位と後ろだったにも関わらず、攻めの走りを貫き、区間タイムも後半に上げてきています。そこに気持ちの強さを感じました。走りを見てもピッチにいいものがあり、5区ではなく2区で正解だったと思います。

 黒田朝日選手(青山学院大3年)も序盤は自分のペースでリズムを作り、後半に上げてくる見事な走りでした。出雲、全日本とも好走していましたし、安定感は流石だなと思います。区間賞のリチャード・エティーリ選手(東京国際大2年)の1時間5分31秒はものすごいタイムですが、59分32秒(ハーフ)の学生記録を持っている選手ですし、その力を考えればこのくらいは走るだろうなと思いました。驚きはなかったです」

日本人と留学生の距離は縮まったか?

ADVERTISEMENT

 大八木はエティーリの異次元の走りを認めつつ、5000m、10000m、ハーフで学生記録を持つこの留学生に迫った2人の日本人選手を称える。吉田はエティーリに12秒、黒田も13秒と肉薄しただけでなく、“史上最強留学生”と言われていたイェゴン・ヴィンセント(当時東京国際大、現Honda)が2021年に出した区間記録をともに上回った。大八木は「日本人でも学生トップクラスになれば、もう留学生相手でも特別な意識は持っていないはず」と見る。

「各大学がそれだけのトレーニングをしていると思います。それが5000mや10000mのタイムにも現れていて、学生長距離界自体のレベルアップが進んでいます。そのスピードを持って、箱根を攻略する方法も確立してきているのではないでしょうか。

 駒澤大で言えば篠原倖太朗が5000mで13分15秒70の日本人学生最高記録を出しましたが、スピードが上がったことで、箱根2区は最初の5kmを14分1ケタで通過すれば、余裕を持って最後まで押し切れるという計算が立つようになりました。トップレベルの選手であれば、国内の留学生に勝つくらいの取り組みをしていなければ、絶対に世界では戦えません。その面で選手たちの意識も上がっていますし、それが結果につながってきているのだと思います」

【次ページ】 「山だけに特化するという考え方は…」

1 2 3 NEXT
#駒澤大学
#青山学院大学
#大八木弘明
#原晋
#帰山侑大
#篠原倖太朗
#谷中晴
#桑田駿介
#山川拓馬
#伊藤蒼唯
#佐藤圭汰
#安原海晴
#村上響
#小山翔也

陸上の前後の記事