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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「印象に残ったのは2区」「山に特化する考え方は…」箱根駅伝で起きている“ある変化”とは? 駒澤大・大八木弘明総監督が語る「優勝の条件」
posted2025/01/30 11:01
![「印象に残ったのは2区」「山に特化する考え方は…」箱根駅伝で起きている“ある変化”とは? 駒澤大・大八木弘明総監督が語る「優勝の条件」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/1500wm/img_45d2ce68b80d7f75e45f77326cf0f00110157769.png)
駒澤大学の大八木弘明総監督が、今年の箱根駅伝を語るインタビューの後編
text by
![加藤康博](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph by
Keiji Ishikawa
前編では駒澤大の戦いを振り返ってもらったが、後編では駒澤大総監督という立場を離れ、フラットな目で今回の箱根駅伝をどのように見たかを振り返ってもらおう。
「まず印象に残ったのは2区ですね。3人が1時間5分台を出して区間新というのはすごいことです。なかでも区間2位の吉田響選手(創価大4年)は見事でした。タスキをもらったのが17位と後ろだったにも関わらず、攻めの走りを貫き、区間タイムも後半に上げてきています。そこに気持ちの強さを感じました。走りを見てもピッチにいいものがあり、5区ではなく2区で正解だったと思います。
黒田朝日選手(青山学院大3年)も序盤は自分のペースでリズムを作り、後半に上げてくる見事な走りでした。出雲、全日本とも好走していましたし、安定感は流石だなと思います。区間賞のリチャード・エティーリ選手(東京国際大2年)の1時間5分31秒はものすごいタイムですが、59分32秒(ハーフ)の学生記録を持っている選手ですし、その力を考えればこのくらいは走るだろうなと思いました。驚きはなかったです」
日本人と留学生の距離は縮まったか?
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大八木はエティーリの異次元の走りを認めつつ、5000m、10000m、ハーフで学生記録を持つこの留学生に迫った2人の日本人選手を称える。吉田はエティーリに12秒、黒田も13秒と肉薄しただけでなく、“史上最強留学生”と言われていたイェゴン・ヴィンセント(当時東京国際大、現Honda)が2021年に出した区間記録をともに上回った。大八木は「日本人でも学生トップクラスになれば、もう留学生相手でも特別な意識は持っていないはず」と見る。
「各大学がそれだけのトレーニングをしていると思います。それが5000mや10000mのタイムにも現れていて、学生長距離界自体のレベルアップが進んでいます。そのスピードを持って、箱根を攻略する方法も確立してきているのではないでしょうか。
駒澤大で言えば篠原倖太朗が5000mで13分15秒70の日本人学生最高記録を出しましたが、スピードが上がったことで、箱根2区は最初の5kmを14分1ケタで通過すれば、余裕を持って最後まで押し切れるという計算が立つようになりました。トップレベルの選手であれば、国内の留学生に勝つくらいの取り組みをしていなければ、絶対に世界では戦えません。その面で選手たちの意識も上がっていますし、それが結果につながってきているのだと思います」