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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「印象に残ったのは2区」「山に特化する考え方は…」箱根駅伝で起きている“ある変化”とは? 駒澤大・大八木弘明総監督が語る「優勝の条件」
text by

加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/01/30 11:01
駒澤大学の大八木弘明総監督が、今年の箱根駅伝を語るインタビューの後編
「山だけに特化するという考え方は…」
2区だけでなく5区、6区でも区間新記録が出た。前編でも語っていたように、箱根を戦ううえで山は大きなポイントとなるところだ。この特殊区間の強化についてはどう見ているのか。
「山は向き、不向きがはっきりしていますので、まずはその適性のある選手を発掘するのは大前提で、そのうえで上り、下りそれぞれの強化を進めていくことになります。それはどの大学でも同じでしょう。この5区を安心して任せられる選手がいるとチーム全体に大きな安心感が生まれます。2023年に駒澤大が箱根を勝ったときも、5区に山川拓馬、6区に伊藤蒼唯(ともに当時1年)という信頼できる選手を置けたことで、平坦区間の選手たちが自信を持って力を発揮できました。
この特殊区間を担う選手がトラックやハーフの記録を求め、平坦区間も見据えつつ同事進行で山の強化を並行していくのは決して簡単ではありません。山だけに特化するという考え方もあるかもしれませんが、私は両方できる選手を育てたいと考えています。駒澤大の話になりますが、山川は、2区でも他大学のエースと戦える適性があります。来年に向け、山川自身がどちらかに絞るのではなく、チームの戦略を優先して両方の準備を進め、“どちらでも走ります”と言ってくれてこそ、本当のエースだと思いますし、そうした言葉を期待したいです」
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そして高速化している現在の箱根駅伝を制するための条件として次のように付け加える。
「勝つためにカギとなる区間が以前に比べて増えてきています。往路で言えば2区と3区、そして山の2区間は言うまでもないですが、復路の7区、9区もエース区間と言っていいでしょう。ここで区間賞もしくは区間2位くらいでまとめられる選手を育成することが優勝の条件です。そしてそれ以外の区間では最低でも区間5位以内でまとめなければならないでしょう。それだけのエース力と選手層がないと優勝は難しくなってきたと思います」

