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「こんなに大変なのか!」福士加代子が明かす「笑福駅伝」開催秘話…「コーチになるには」青学大・原晋監督に相談も「愕然とした」理由とは

posted2025/02/04 11:00

 
「こんなに大変なのか!」福士加代子が明かす「笑福駅伝」開催秘話…「コーチになるには」青学大・原晋監督に相談も「愕然とした」理由とは<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

マラソン・長距離でオリンピックに4大会連続で出場した福士加代子。3年前に競技を引退し、セカンドキャリアについて語った

text by

和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

 陸上女子長距離でオリンピックに4大会連続出場した福士加代子が、日本財団主催のアスリートやスポーツ団体による社会貢献活動を表彰するHEROs AWARD 2024を受賞した。
 現役引退後に立ち上げた「福士加代子RUNプロジェクト」で企画・運営しているランイベントや、京都府の事業「京のスポーツ夢バンク」での子どもたちへの陸上教室が評されてのことだ。
 3月にはランイベント「笑って走れば福来たる駅伝」の3回目が開催される。「走る」ことを通じて発信し続ける「地域を元気にしたい」「人とのつながりを大切にしたい」という想い、さらには指導者としての道を歩み始めたセカンドキャリアについて話を聞いた。

「競技を終えた後は、ワコールで普通に働ければいいやと思っていました。一瞬、営業スタッフになろうかなとも思ったんですけど(笑)。陸上部には携わっていくんだろうなって思いながら競技をやめました」

 2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン、そして16年リオデジャネイロと、オリンピックに4大会連続で出場した福士加代子さんは、惜しまれながらも2022年1月に競技を退いた。セカンドキャリアについて「そんなに先のことを考えられない」と話していた福士さんだったが、漠然と現役引退後も陸上競技には関わっていくだろうという予感は持ち合わせていた。

「いざ終わってみると、あんまりやることがなかったんですが……」と笑って振り返るが、周囲の人々が福士さんを放っておくはずがなかった。

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「思っていた以上に『走りを教えてください』とか『走り方教室をやってください』という要望が多かったんです。なんでだろうと思ったら、走り方ってあんまり教えてもらうことがないんですよね」

 活動拠点である京都府の事業「京のスポーツ夢バンク」では小学生に向けた陸上教室を行った。

「基本は鬼ごっこがメインなんですけど、45分間、どうやって子どもたちを飽きさせないようにやるかを考えて、毎回、何かを変えてやっていました」

現役時代にはなかった体験

 さらには、全国各地で開催されているマラソン大会にゲストランナーとして呼ばれ、津々浦々を駆け回った。それは現役時代にはなかなかなかった体験だった。

 そこでは、多くの市民ランナーとの触れ合いがあった。

「まだ現役時代の名残りがあったからか、みんな『次、頑張って』って言ってくれるんです。次はないんですけどね(笑)」

 常に笑顔で現役生活を駆け抜けた福士さんには、市民ランナーも親近感を抱いていたのだろう。だからこそ、そんなエールを送ったに違いない。

 走ることを“職業”としてきた福士さんにとって、市民ランナーとの交流には新たな発見や驚きがあった。

「市民ランナーって、毎週のようにマラソンを走ったりしているんですよね。なかには、だいぶ高齢の人もいる。“おかしいんじゃないの!”と思うこともありました(笑)。この人たちに会って、話すのが面白かったんです。でも、私がゲストランナーに呼ばれない限り、また会うことはないんだろうな、とも思いました。それならば、私が大会を作ってもいいのかな」

 ふっと、そんなことを福士さんは考えた。

【次ページ】 RUNプロジェクト第1弾「こんなに大変なのか!」

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