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「エースが補欠!?」「6人フル交代!?」箱根駅伝“区間エントリー当日変更”の謎…青学大は「予定通り」、あの知将は「少しでも他大の動揺を」
posted2025/01/15 17:00
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Hiroyuki Nakamura
箱根駅伝は12月29日に「区間エントリー」が行われ、レース当日の朝に正選手と補欠の交代が認められている(※交代は往路・復路合わせて6人、1日では最大4人)。そして今大会は全21チームが当日変更を実施した。
その理由のひとつはリスク管理だ。10区間すべてに出走予定の選手を入れた場合、仮に2区登録の選手が体調不良になると、チーム“11番目”の選手がエース区間を担うことになる。それでは大きな出遅れにつながる可能性が高い。
主要区間を任せられる選手を補欠に残しておき、アクシデントがなければ、その選手を予定していた区間に起用するのがオーソドックスなかたちになる。
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一方でエース級を補欠に登録することで、レース当日までライバル校に「戦略」を知られないように考えている大学も少なくない。今大会は「区間エントリー」にどのようなドラマがあったのか探っていきたい。
青学大の当日変更は例年通り、エースを隠したのは…
まずは連覇を飾った青学大だ。黒田朝日(3年)と太田蒼生(4年)のWエースを補欠登録していたが、黒田を2区、太田を4区に投入してきた。前回も往路で黒田(2区)と太田(3区)を当日変更で起用しており、順当ともいえるオーダーになった。復路も前回は2区間(7区と8区)で変更があったが、今回も9区に田中悠登(4年)、10区に小河原陽琉(1年)を入れている。
エースの起用区間を隠してきたのが中大と駒大だ。中大は前回7区で区間賞に輝いた吉居駿恭(3年)を当日変更で1区に起用。序盤から驚きの“大逃げ”を見せ、1分32秒もの大量リードを奪った。
駒大は山川拓馬と佐藤圭汰の3年生コンビを補欠登録。往路で山川が5区に入ると、復路では佐藤が7区に起用された。山川は区間4位と伸び悩んだが、佐藤は区間記録を1分近くも短縮。トップの青学大に急接近して、レースを大いに盛り上げた。
吉居と佐藤の快走はインパクト十分だったが、起用区間という意味ではサプライズという感じではなかった。一方、「区間エントリー」から当日のオーダーが読み切れなかった有力校が2校あった。