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「エースが補欠!?」「6人フル交代!?」箱根駅伝“区間エントリー当日変更”の謎…青学大は「予定通り」、あの知将は「少しでも他大の動揺を」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2025/01/15 17:00
2区吉田響から3区ムチーニへタスキを渡す創価大。エース格のこの2人が11番、14番という補欠登録だった。今大会の「区間登録」のドラマとは?
「選手たちは自分の区間のゼッケンで走りたいという思いがあるので、直前のケガや体調不良さえなければ、変更なしで走らせてあげたいからです。一方で、過去2回は本気で優勝を目指すレベルには至っていませんでした。他大学に警戒されるほどのチームではなかったので正攻法で臨んだかたちです」
今回に限って仕掛けてきた当日変更の“謎”
そして迎えた今回の「区間エントリー」は他大学からすれば、“謎”に満ちていた。実際の往路エントリーと主な補欠(数字はゼッケン番号/11番以降が補欠)は以下の通りになる。
1齊藤大空(2年)
2浦川栞伍(1年)
3小暮栄輝(4年)
4野沢悠真(3年)
5若狭凜太郎(4年)
11吉田響(4年)
12石丸惇那(3年)
13小池莉希(2年)
14スティーブン・ムチーニ(2年)
16山口翔輝(1年)
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前回2区のムチーニと同5区の吉田を補欠登録。2区が当日変更になるであろうことは明らかだったが、創価大の往路オーダーはかなり読みづらいものがあった。この区間エントリーにどんな“戦略”が隠されていたのだろうか。
吉田響をどこに起用するか?
「吉田響は(5区で)『山の神になりたい』と言い続けてきましたが、チームは往路優勝しての総合優勝を目標にしていました。これまでのような正攻法ではうまくいかないんじゃないかと思ったんです。駅伝は相手チームがいることなので、少しでも他大学の動揺を誘い、相手の予想を覆すようなオーダーを組みたいという思いがあって、今回の区間エントリーになったんです」
吉田が出雲と全日本のスピード区間で快走したことで、榎木監督は12月上旬ぐらいから絶対エースを2区に入れるオーダーを固めていたという。しかし最初から2区にはせず、補欠登録することでライバル校に揺さぶりをかけたのだ。