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「エースが補欠!?」「6人フル交代!?」箱根駅伝“区間エントリー当日変更”の謎…青学大は「予定通り」、あの知将は「少しでも他大の動揺を」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2025/01/15 17:00
2区吉田響から3区ムチーニへタスキを渡す創価大。エース格のこの2人が11番、14番という補欠登録だった。今大会の「区間登録」のドラマとは?
「吉田響が山で来ると予想していた大学もあれば、もしかしたら2区に来るんじゃないかと想定していた大学もあったようです。ムチーニの方も3区に来るのか、4区に来るのか、または1区なのか。計算しにくかったのではないでしょうか」
一方で1区候補だった小暮栄輝に脚の不調があり、1区には齊藤大空を抜擢。当日変更で3区にムチーニ、5区に山口翔輝が入るオーダーになった。
創価大の「思惑通り」と「誤算」
そして榎木監督の思惑通りに、2区に登場した吉田響が爆走する。日本人最高記録(1時間05分57秒)だけでなく、区間記録(1時間05分49秒)を上回る1時間05分43秒をマーク。怒涛の13人抜きを演じて、3位の青学大と10秒差の4位につけたのだ。
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さらに3区ムチーニが青学大・鶴川正也(4年)をかわして2位に浮上した。しかし、榎木監督にとって“誤算”があった。それは1区で中大・吉居が独走したことだ。
「吉居君は当日変更で1区に入ると思っていましたが、正直、あそこまで抜け出すのは予想していませんでした。離されても1分以内かな、と(※創価大は1区で1分55秒の大差をつけられた)。そこが誤算でしたね。
吉居君の独走がなければ、2区以降の流れも変わっていたと思います。3区ムチーニでトップに立って、4区で青学大・太田蒼生君に追いつかれても、競り合うかたちで5区につなげたかもしれません」
区間エントリーでライバル校を惑わすことに成功しても、ひとりのエースに野望を打ち砕かれることもある。箱根駅伝の「区間エントリー」という“パズル”にはかなり奥深いものがあるようだ。