箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「いや、狙っていたんで」立教大まさかの全日本駅伝シード権獲得は“ラッキー”にあらず…「粘り」と「準備」で箱根駅伝でも台風の目になるか
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/11/06 17:42
全日本駅伝、7位でシード権を獲得してガッツポーズの立教大アンカー・安藤圭佑(4年)
それは、選手のもともと持っている能力に、育成強化と結果が乗ってこないとなかなか発揮できるものではない。
8区の安藤を始め、今の1年生から4年生までは上野裕一郎前監督がスカウトしてきた選手だ。箱根を走る他校と競合したような、非常に能力の高い選手たちである。彼らの多くは2年目あたりから力を開花させてきたが、今年4月に就任した髙林監督の練習メニューによって、その力が“確変”した。関東インカレのハーフでは稲塚が5位、中西洸貴(4年)が12位、5000mで林が10位に入るなど、選手個々の力が上がったことが、レースの結果で証明された。
全日本の予選会でも林と國安が3組目で粘って2位と3位を獲り、予選突破に貢献した。林は、「チーム全体としてやるんだ、レースで粘って喰らいつくんだというのが結果に反映されて良かった」と語っていた。
この時、すでに“粘りの走り”が萌芽していたのだ。
目標が定まり、気持ちの準備ができた
また、髙林監督が重視する「準備」も怠らなかった。
全日本の出場権を獲得した時点ではまだ、箱根に向けての大きなステップととらえていた。髙林監督も、夏前から箱根の予選会に言及することは増えたが、全日本での目標にそこまで明確なものはなかったように思える。
目標が定まったのは、8月だった。
「6月に全日本の出場権を獲得した時は、出場して力を試す、チャレンジして経験を積みたい、みたいに考えていたんです。でも、夏合宿ですかね。目標をシード権獲得に変えました。それぞれの選手のレベルアップを見て、これならと思いました。シード権のことは、その頃から私がことあるごとに選手に言うようにしていました」
髙林監督が発言することで選手は、シードを意識するようになった。チームとしては箱根駅伝の予選会を突破することが最大優先事項であるが、髙林監督が「スケジュールは、予選会の次に全日本がある、ということを選手に意識させていました」と語るように、予選会終わりで気持ちを切らせないようにした。