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「魅力が薄い」「体質がぬるい」「野手が伸びない」OBも嘆き節…西武はなぜここまで弱くなったのか? 西口文也新監督に託された再建への課題とは
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/16 17:48
現役時代は通算182勝を挙げた大エース。22年からは二軍監督を務めていた西口文也新監督に再建が託された
12球団最低の350得点(=1試合平均2.45点)がどれだけ少ないかは、607得点で同トップのソフトバンクと比べればわかりやすい。ちなみに個人タイトルは近藤健介が打率.314、山川穂高が34本塁打&99打点と主要部門をソフトバンク勢が独占した。
周知のように、山川は昨季まで西武に在籍。FAで4番打者の抜けた穴はあまりに大きかった。
一方、日本ハムに在籍した近藤が2022年オフにFA権を行使すると、西武も獲得に乗り出した。だが、5球団の争奪戦を制したのはソフトバンクだった。2023年オフに推定年俸5億5000万円プラス出来高で契約更改したと報じられているが、じつは7億円プラス出来高という話もある。守護神ロベルト・オスナとは2024年から4年総額40億円の契約を結ぶなど、ソフトバンクの財力に他球団は太刀打ちできないのが現状だ。
収容人数、立地という球場面の不利
独立採算制でこれだけ補強費を注げるのは、球場のキャパシティによるところも大きい。みずほPayPayドーム福岡の収容人数は4万142人でパ・リーグ最多だ。
かたや、西武のベルーナドームは3万1552人。収容人数の差は年間主催72試合になると大きく、今季ソフトバンクの観客動員はリーグ最多の年間272万6058人に対し、西武は同最下位の年間155万5280人だった(※ともに地方開催もある)。単純にチケット代を一律3000円として計算すると、35億円以上の差になる。
環境面で言えば、二つの悪条件を抱える。一つは遠征の際、空路の羽田空港、新幹線の品川駅や東京駅が遠いことだ。
さらに、狭山丘陵にあるベルーナドームは熱がこもりやすく、酷暑の夏には「選手がかわいそう」という声も球界関係者からこぼれるほどだ。2021年に総工費180億円をかけて大規模な球場改修が行われた際には完全ドーム化も検討されたが、球場を新設するのと同程度の費用がかかることに加え、本拠地が市街化調整区域にあることから見送られている。
つまり、球場面の不利は覆しにくいのだ。