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「魅力が薄い」「体質がぬるい」「野手が伸びない」OBも嘆き節…西武はなぜここまで弱くなったのか? 西口文也新監督に託された再建への課題とは
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/16 17:48
現役時代は通算182勝を挙げた大エース。22年からは二軍監督を務めていた西口文也新監督に再建が託された
以上の悪条件が重なるなか、資金力を活かして毎年大型補強を敢行、さらに球界唯一の四軍制で育成にも力を注ぐソフトバンクにどう対抗するのか。
「お金の問題を言い出すと、何とも言えないですけど……」
今年7月に渡辺前GMに聞くと、第一声でそう返ってきた。
「それは、育成に力を入れていく。昔から育成にはものすごく重点を置いていましたよ、西武って。41年前、18歳で俺が入団したときからライオンズは結構そういうのはやっていましたね」
育成が伝統のはずだが…
育成のライオンズ――。
西武は2020年から育成改革を掲げ、若手を伸ばすための思考トレーニング、指導者のレベルアップを見据えたコーチング研修に力を注いでいる。もちろん若手の底上げは極めて大事だが、主力が次々と出ていく流れを止められない以上、育成せざるを得ないという側面もある。
だが、前述したように近年は野手の伸び悩みが続く。特に外野は深刻で、2019年オフに秋山翔吾(現広島)が海外FA権を行使して退団して以来、レギュラーが固定できない状況だ。
なぜ、これほど若手が伸びないのか。
チームの体質が「ぬるい」
一軍打撃コーチに就任して1年目を終えた2022年オフ、平石洋介コーチはチームの体質を「Web Sportiva」の取材であえて辛辣に表現している。
西武は「ぬるい」――。
打った後に全力疾走しない。練習で守備のミスが出ても周囲から厳しい声が飛ばず、平然としている。打席では初球からワンバウンドの球に手を出す……。平石コーチが2020年から2021年まで在籍したソフトバンクとは、明らかに違っていた。
だから今季まで西武に在籍した3年間、口を酸っぱくして言ってきたという。果たして、チームの体質に変化は見られたのか。
「多少は変わってきていると思います。ちゃんと(一塁まで)走るし。そんなレベルの話……っていう内容ですけどね」