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「魅力が薄い」「体質がぬるい」「野手が伸びない」OBも嘆き節…西武はなぜここまで弱くなったのか? 西口文也新監督に託された再建への課題とは
posted2024/10/16 17:48
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph by
JIJI PRESS
ポストシーズン開幕を告げるクライマックスシリーズファーストステージ前日会見がエスコンフィールドで開かれた10月11日、品川プリンスホテルの一室では来季を見据える西武・西口文也監督の就任会見が行われた。
歴史的低迷に終わった今季を踏まえ、球団は新監督にどんな期待を寄せるのか。同席した飯田光男球団本部長はこう話した。
「西口監督は非常に厳しさを持っている人です。選手に厳しく接しつつ、個々の力をアップさせることにしっかり取り組んでいただいて、厳しい集団、戦う集団を西口監督につくっていただきたいと思います」
会見で飯田本部長は「厳しく」という要望を繰り返した。裏を返せば、今の西武には「厳しさ」が足りないということだ。
球団の魅力が薄くなっている
49勝91敗3分、借金42で勝率.350。5位オリックスに14ゲーム差、優勝したソフトバンクには42ゲームもの差をつけられた。
就任2年目の松井稼頭央監督は選手への厳しさが足りず、球団は交流戦前の5月26日に事実上の解任。松井監督の下でチームは15勝30敗、勝率.333だったが、渡辺久信GM兼監督代行が引き継いだ後も34勝61敗3分、勝率.358と成績はさほど変わらず、編成責任者も球団を去った。
なぜ、パ・リーグ最多優勝回数を誇る西武はここまで凋落したのか。
「球団の魅力が薄くなっているからです」
球団OBや球界関係者から、そうした声が複数聞こえた。その一人が匿名を条件に語る。
「これだけ主力がどんどん抜けていく球団は他にないですよ。幹部は『マネーゲームは難しい……』と言うけど、他球団ではFA権を取っただけで一気に年俸が上がる選手もいます。対して、カネは出さない、球場の立地も悪い、環境も良くない……では選手が出ていくばかりです。選手が『ライオンズに残りたい』と感じるような魅力ある球団にしていければ、いろいろ変わっていくと思いますけどね」
FA流出は最多、野手が伸び悩み
1993年にFA(フリーエージェント)制度が導入されて以来、西武は最も多くの選手を流出させてきた。これまでは若手の台頭でカバーしてきたが、近年は野手の伸び悩みが続いている。
そして今季、チーム打率.212でリーグ最低記録を更新。合計60本塁打は球団史上最低の数字だった。