プロ野球PRESSBACK NUMBER
「魅力が薄い」「体質がぬるい」「野手が伸びない」OBも嘆き節…西武はなぜここまで弱くなったのか? 西口文也新監督に託された再建への課題とは
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/16 17:48
現役時代は通算182勝を挙げた大エース。22年からは二軍監督を務めていた西口文也新監督に再建が託された
指導者にOBを重用する西武に“外様”としてたった一人招かれたからこそ、平石コーチは課せられた役割を考え、厳しい指摘を繰り返した。
「いろんな個性があってもいいと思うけど、やっぱりプロの世界なので、それぞれがプロフェッショナルであるべきです。もちろん1シーズンの中でコンディションや気持ちの波は当然ありますよ。ただ、『今日ぐらいええわ』と抜いてしまうと、なかなか成長もなくなってくる。もっともっと変わっていかないといけないと思います。特に若い選手はね」
西口監督の就任会見で飯田本部長が「厳しく」と何度も要望したほど、西武の野手陣に「ぬるい」体質は染み付いている。監督やコーチ陣を変えることで、果たして彼らは生まれ変われるだろうか。
投手陣は「ぬるさ」から脱却できた
一つ希望を挙げれば、投手陣には変われた実績がある。
強力な“山賊打線”で連覇した2018、2019年シーズン、チーム防御率は4.24、4.35でいずれもリーグ最下位だった。そこから2022年に同トップの2.75、2023年は同2位の2.93、今季は同4位の3.02と改善した裏には意識改革もあった。
その先頭に立ったのが、球団OBで2020年に就任した豊田清投手コーチだ。
「キャッチボールから見直しました。俺がライオンズに来たときは練習が大体の時間で始まって、まだスパイクを履いている人やグローブを持っていない人もいた。時間にすごくルーズで、みんなの意識が薄いんだなと」
キャッチボールで一人がポロッとボールをこぼすと、連鎖したように暴投が生じる。チームの緊張感が薄く、プロでは信じられないようなミスが続いた。
キャッチボールからの意識改革
豊田コーチは巨人の二軍を担当していた頃、同じ問題点を感じた。似たような状況だった西武の一軍投手陣には「キャッチボールを丁寧に行こうぜ」という声かけから徹底し、意識を変えていった。
そうして台頭してきたのがエース格の髙橋光成、今季最多奪三振を獲得した今井達也、メジャー移籍を見据える平良海馬らだ。彼らの高い意識は投手陣に伝播し、背中を追うのが今季飛躍した渡邉勇太朗や大型左腕の羽田慎之介などだ。