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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「オーバーエイジ候補リストは存在した」大岩剛監督が初めて明かすパリ五輪チーム作り“OA枠未使用”の真相「A代表の“ある選手”も出たいと…」
text by
佐藤景Kei Sato
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2024/10/09 11:00
大岩監督率いる日本はグループステージでパラグアイ、マリ、イスラエルをいずれも零封して3連勝で決勝トーナメントに進んだが
「今回はコロナの影響で予選の時期が1月開催から各国のリーグ戦、真っ最中の4月、5月にズレましたが、次回の予選はそんなことはないでしょう。それでも選手の招集に関して難しくなっていくのは間違いない。極端な話、オリンピックを成長の場と割り切ることだってありなのかもしれないし、それも含めて日本サッカー界としてどうしていくのか、話し合うことが必要だと思います。以前も言いましたが、ユニバーシアードという大学生の世界大会が無くなりました。これは極論ですが、アマチュアの大学生で臨むという考え方だってあるのかもしれない。可能性も含めていろいろな意見を出し合って日本サッカーにとってのベストを探ることが重要だと思います」
五輪でめざすのは勝利か、育成か
まだワールドカップに出場できなかった時代、1968年のメキシコ五輪において、日本は銅メダルを獲得した。以来今日まで、その事実は日本サッカー界の金字塔として燦然と輝いている。そしてこの偉大な記録を塗り替えることこそがあとに続く者の使命とされてきた。こうした歴史を考えれば、五輪を成長の場と割り切るのは難しいのだろう。
さらに言えば、そもそも日本人はオリンピック好きと言われ、大会期間中に大きな盛り上がりを見せる。サッカーの注目度も上がるため、メダル獲得を度外視するような方向に進むことは考えにくい。前述の影山委員長が何とも微妙な表現で「両方を目指す」と話したのは、そうした背景があるからだった。
まっすぐに勝利を目指すには解決し難い問題があり、成長の場と割り切ろうにも、日本サッカーの歴史と国内におけるオリンピックの注目度がそれをよしとしない。
今回は選手の頑張りと指揮官、スタッフの力によってチームはOA無しでグループステージ突破を成し遂げたが、同じような強化策、準備方法が続くとすれば、2028年のロサンゼルス五輪へ続く道も本大会も難しいものになるかもしれない。
「毎回、アプローチの仕方も異なるし、前例がそのまま生かせないのがオリンピック代表だと思います。僕のやり方が正解ではないと思いますが、どう取り組んでいくかについて、やはり指針みたいなものはしっかりあったほうがいいとは感じます」
2年半、たびたび起こったイレギュラーな状況の中で、その都度、招集できた選手たちとともに前進し続けた指揮官の言葉は重い。<後編につづく>