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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「これまでと違うやり方をした」パリ五輪チーム作りは正解だったのか? 大岩剛監督が振り返る異例のアプローチ…「ポジションの役割明確化」とは
posted2024/10/09 11:01
text by
佐藤景Kei Sato
photograph by
Yuki Suenaga
「どこまで参考になるかはわかりません。僕はこれまでとは違うやり方をしたと思うので」
インタビュー前編で大岩剛監督自身が述べた通り、パリ五輪を戦ったU-23日本代表は、取り巻く環境という点において過去のチームと大きく異なっていた。ただ、いくつもの難しい状況があった中で、指揮官は前例のないアプローチでチーム作りを進めていった。インタビュー後編では、その点にフォーカスを当ててみたい。
「代表監督というとセレクターの側面が強く、簡単に言えば、うまい選手や強い選手を選んで、その選手たちをどう組み合わせて、チームを機能させるかを考えることが仕事だと思いますよね。代表チームはクラブのように練習時間を取れるわけではないですから。実際、そういう部分もあると思いますが、それだけでは僕らのチームはチームとして成立しにくいと感じていました」
2022年3月に行われたドバイカップでチームは立ち上げられたが、当初のメンバーには所属クラブで出番のない選手が多く、「プレーヤーとしてまだまだ確立されていない選手の集合体だった」。とくに気になったのは「自信なさそうにプレーしているところ」だった、と指揮官は振り返る。
「選手たちの世界経験の乏しさも影響していたかもしれませんが、攻撃でも守備でもノッキングを起こし、うまくいかないことが多すぎて、チームとしてやるべきことを整理する必要性を感じました」
スペイン代表に受けた衝撃
そんな時期に臨んだ試合で、大岩監督は大きな衝撃を受けることになる。2022年11月18日、日本はヨーロッパに遠征し、アウェーでU-21スペイン代表と対戦した。A代表がカタールW杯を戦っているのと同時期の遠征だった。
「9月にスイス、イタリアと対戦したあとのタイミングでしたが、あの試合は自分にとってもスタッフにも、衝撃的でした。こちらにもプレーの原則はあるし、一生懸命に戦ってはいるのですが、スペインの選手と大きな違いを感じさせられた。彼らにはまったく迷いがないわけです。各ポジションの選手が、そのシチュエーションにおける『やるべきこと』を理解していて、だから判断スピードもプレースピードも上がるし、ボールもつながっていく」
試合は0-2で完敗するが、その敗戦は指揮官にとって大きな収穫となる。進むべき道が明確になったからだ。