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《日本選手権4連覇中》女子走幅跳・秦澄美鈴のモチベーションを高めるオンとオフのスタイル「本当に自分がいいと思ったものを着続けたい」
posted2024/09/27 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takuya Sugiyama
どこまでも遠くを目指してきた。
日本女子走幅跳の第一人者、秦澄美鈴は、ただただひたむきに挑んできた。
2023年7月のアジア陸上競技選手権大会で6m97を出し、17年ぶりに日本記録を更新。2022、2023年と世界陸上競技選手権大会にも出場した。
そのキャリアで目をひくのは、陸上そのものは高校時代から打ち込んでいたが、走幅跳は大学卒業後に本格的に始めたということ。わずか3カ月ほどで日本陸上競技選手権大会の優勝を果たしたことを示している。
受けた指導や練習の取り組みもそれをもたらしただろう、加えて、ある意味「天職」であることをも思わせる。
「走幅跳は何回かチャンスがある中で、自分のベストパフォーマンスが1本できればそれが記録や成績に直結する競技です。ある意味、一発勝負というか、そういうところに魅力を感じます」
1本に懸けるからこそ、メンタルが重要であることを知る。
「うまくいかなかったとしてもすぐに立て直して、自分の中でマインドセットして次に挑まなければいけない。後ろ向きになっているとそのまま気持ちに持っていかれてしまうので気持ちの切り替えが大事な競技だと思います」
お気に入りのウエアで気持ちを高める
メンタルは試合の場だけで重要なわけではないと言う。
「陸上競技の中で、特に走幅跳は1人で挑む競技なので、本当に自分のモチベーションがすべてを左右すると言っても過言ではないと思います。トレーニングでも、人からの力というのはなかなか借りられませんし、自分で自分の気持ちを高めていくことが重要になります」
気持ちをどう高めるか――その中には身に着けるものも含まれる。
「例えば自分がお気に入りのウエアを着ていると、『練習、頑張っちゃおうかな』という気分になります。ですから、本当に自分がいいと思ったものを着続けたいですね」
いいと思うものの前提の1つは、むろん、機能面だ。今、秦はアシックスの「NAGINO」を着用する。
「タイツはすごく伸びがいいなと思います。締め付けが苦しいものもあったりするんですけど、NAGINOは足を入れたときの伸び感ですっとはけるので、負担なく脱ぎ着できるのがいいなと思っています。お腹の上まであるタイツで、お腹の辺にゴムがあると苦しかったりしますが、伸びがいいので圧迫感や苦しさを感じにくく着用しやすいですね。けっこうさらさらしているので着心地もいいです」
NAGINOは「女性による女性のために作られたコレクション」であることも特徴だ。秦の次の言葉には、それがウエア上に表現されていることが表れている。