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谷川萌々子19歳“魔法の30m弾”にブラジル実況「ノーン!」日本人が知らないサッカー王国の“なでしこ報道”「モモコは12歳から…名手だ」
posted2024/07/31 06:30
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
28日(日本時間では29日未明)に行なわれたパリ五輪女子サッカーのグループステージ(GS)第2戦の日本対ブラジルは、ブラジルでもテレビで同時中継された。
後半11分にブラジルが先制し、終盤まで1点をリード。ブラジルはGS初戦でナイジェリアを1-0で下し、この試合に勝てばグループ2位以内と準々決勝進出が確定する。テレビのアナウンサーは「日本の反撃を浴びながらも、何とか凌いでいます」と緊迫した口調だった。
PKシーンには「腕を引っこ抜けとでも言うのか」
しかし後半44分、右サイドでパスを受けた途中出場のMF谷川萌々子がドリブルで中へ切れ込んだ際、対応したDFイヤスミンがバランスを崩して倒れ、右腕がボールに触れた。
しばらくプレーが続いたが、ほどなく主審が中断。VARが発動されて主審がオンフィールドレビューを行なった結果、日本にPKを与えた。
ブラジルのアナウンサーは「ボールがイヤスミンの右手に当たったのは事実だが、あの体勢でどうやって手を引っ込めるんだ? 腕を体から引っこ抜けとでも言うのか」と声を荒げた。
熊谷紗希のキックが決まって土壇場で日本が追いつき、アディショナルタイムに突入。ブラジルが自陣で日本の攻撃を食い止めて左へ展開するが、CBラファエリのパスが精度を欠いてMF清家貴子に渡る。清家のドリブルをMFケロリンが食い止め、再びラファエリにボールが渡るが、ケロリンへのショートパスがまたしてもずれる。
「ノーン!」「断じて容認できない!」
この状況を察知したのが、谷川だった。
ダイレクトで咄嗟にロングシュートを放つと、少し前へ出ていたGKロレーナの頭上を高々と越えてゴールへ吸い込まれた。
その瞬間、ブラジルのテレビのアナウンサーは、こう絶叫した。