Number Web MoreBACK NUMBER

大谷翔平の本拠地「同じロスでも…エンゼルスとドジャースは全く違う」 日本人が知らない“ファン層の違い”「お行儀は良いとは言えないが…」

posted2024/10/09 06:00

 
大谷翔平の本拠地「同じロスでも…エンゼルスとドジャースは全く違う」 日本人が知らない“ファン層の違い”「お行儀は良いとは言えないが…」<Number Web> photograph by Koji Sasada

ハーモッサビーチに描かれたドジャース大谷翔平の壁画

text by

笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

PROFILE

photograph by

Koji Sasada

好勝負が続くドジャースvsパドレスの地区シリーズ。第2戦では、ドジャースファンの行動で試合が一時中断するアクシデントも話題を集めた。大谷翔平が所属したエンゼルスとドジャースでは、ファンの“気質”にもじつは大きな違いがある。両チームの“ファン心理”について解説した記事を再公開する。【初出:2023年12月29日、肩書などはすべて当時】

 ドジャース入団会見で大谷翔平と山本由伸はほぼ同じ言葉を口にした。

「一番大事なのは全員が勝ちに、同じ方向に向いているのが大事だと思う。オーナーグループ、フロント、チームメート、ファン、みんながそこに向かっていることが大事かなと思います」(大谷)

「自分の中で本当に勝ちたい気持ち、まだ勝ち続けたいところが自分の中でも優先順位に置いていた決断だった。そこに一番近いのはドジャースじゃないかと感じた」(山本)

 過去11年で10度の地区優勝を飾りながらワールドシリーズ制覇は20年の一度きり。現状に決して満足しないドジャース・オーナー陣の経営理念、野球編成部門が持つチーム強化へのあくなき拘り、その中でプレーする選手の責任感、そして心血を注ぎ熱狂的な声援を送り続けるファンの存在、そのすべてで今のドジャースはメジャー30球団で屈指と言われている。大谷と山本は交渉過程の中でそれを肌で感じとったのであろう。

同じロサンゼルスでも…本拠地の雰囲気は全く違う

 95年にドジャースに入団した先駆者・野茂英雄さんの取材を現地で続けた。当時と経営グループは様変わりしたが、『ドジャー・ブルー』のプライドは今も脈々と受け継がれている。それは世界一を目指す上での企業理念、ユニフォームを着る者のプライド、ファンの熱量だと感じる。Interstate Highway 5(米国の高速道路5号線)で繋がり、たった48キロしか離れていないエンゼルスとは、いい意味でも、そうでない部分でも、随分と違う。両チームのファン気質にはそれが表れている。

 日本のファンの方は、ともにロサンゼルスのチームという印象をお持ちかもしれないが、エンゼルスはオレンジ・カウンティ・アナハイム市に位置し、ドジャースはロサンゼルス・カウンティ・ロサンゼルス市にある。日本の方には聞き慣れないこの「カウンティ(郡)」の違いが両チームのファン気質に大きな違いを生んでいる。

【次ページ】 ドジャースは多様な民族の街、熱狂的なファン

1 2 3 NEXT
#大谷翔平
#山本由伸
#ロサンゼルス・エンゼルス
#ロサンゼルス・ドジャース

MLBの前後の記事

ページトップ