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「これまでと違うやり方をした」パリ五輪チーム作りは正解だったのか? 大岩剛監督が振り返る異例のアプローチ…「ポジションの役割明確化」とは

posted2024/10/09 11:01

 
「これまでと違うやり方をした」パリ五輪チーム作りは正解だったのか? 大岩剛監督が振り返る異例のアプローチ…「ポジションの役割明確化」とは<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

8月いっぱいで五輪代表監督を退任した大岩氏は終始穏やかな表情で語った

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佐藤景

佐藤景Kei Sato

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Yuki Suenaga

 メダルを目標に挑んだパリ五輪サッカー男子日本代表。オーバーエイジ枠を使わず、23歳以下の選手のみでグループステージを突破したものの、ベスト8で敗退した。この結果をいかに受け止めればいいのか。代表チーム作りはどんなアプローチを取るべきなのか。8月いっぱいで代表監督を退任した大岩剛氏がNumberWebインタビューに答えた。<全2回の後編/前編から読む>

「どこまで参考になるかはわかりません。僕はこれまでとは違うやり方をしたと思うので」

 インタビュー前編で大岩剛監督自身が述べた通り、パリ五輪を戦ったU-23日本代表は、取り巻く環境という点において過去のチームと大きく異なっていた。ただ、いくつもの難しい状況があった中で、指揮官は前例のないアプローチでチーム作りを進めていった。インタビュー後編では、その点にフォーカスを当ててみたい。

「代表監督というとセレクターの側面が強く、簡単に言えば、うまい選手や強い選手を選んで、その選手たちをどう組み合わせて、チームを機能させるかを考えることが仕事だと思いますよね。代表チームはクラブのように練習時間を取れるわけではないですから。実際、そういう部分もあると思いますが、それだけでは僕らのチームはチームとして成立しにくいと感じていました」

 2022年3月に行われたドバイカップでチームは立ち上げられたが、当初のメンバーには所属クラブで出番のない選手が多く、「プレーヤーとしてまだまだ確立されていない選手の集合体だった」。とくに気になったのは「自信なさそうにプレーしているところ」だった、と指揮官は振り返る。

「選手たちの世界経験の乏しさも影響していたかもしれませんが、攻撃でも守備でもノッキングを起こし、うまくいかないことが多すぎて、チームとしてやるべきことを整理する必要性を感じました」

スペイン代表に受けた衝撃

 そんな時期に臨んだ試合で、大岩監督は大きな衝撃を受けることになる。2022年11月18日、日本はヨーロッパに遠征し、アウェーでU-21スペイン代表と対戦した。A代表がカタールW杯を戦っているのと同時期の遠征だった。

「9月にスイス、イタリアと対戦したあとのタイミングでしたが、あの試合は自分にとってもスタッフにも、衝撃的でした。こちらにもプレーの原則はあるし、一生懸命に戦ってはいるのですが、スペインの選手と大きな違いを感じさせられた。彼らにはまったく迷いがないわけです。各ポジションの選手が、そのシチュエーションにおける『やるべきこと』を理解していて、だから判断スピードもプレースピードも上がるし、ボールもつながっていく」

 試合は0-2で完敗するが、その敗戦は指揮官にとって大きな収穫となる。進むべき道が明確になったからだ。

【次ページ】 各ポジションの役割を明確化する

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