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「オーバーエイジ候補リストは存在した」大岩剛監督が初めて明かすパリ五輪チーム作り“OA枠未使用”の真相「A代表の“ある選手”も出たいと…」 

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佐藤景

佐藤景Kei Sato

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photograph byKoki Nagahama/JMPA

posted2024/10/09 11:00

「オーバーエイジ候補リストは存在した」大岩剛監督が初めて明かすパリ五輪チーム作り“OA枠未使用”の真相「A代表の“ある選手”も出たいと…」<Number Web> photograph by Koki Nagahama/JMPA

大岩監督率いる日本はグループステージでパラグアイ、マリ、イスラエルをいずれも零封して3連勝で決勝トーナメントに進んだが

 20歳前後で海外移籍する選手が増え、さらにクラブで重要な存在となるケースも増えたことで、以前のように望む形で招集できなくなった。そしてオリンピック本大会はヨーロッパ主要リーグの開幕直前・直後の重要な時期に当たり、移籍期間中でもある。

「アジアでU-23のチャンピオンになったときには、リストから名前がほとんど消えていました。そのときにはもうアジア王者としてオリンピックに行こうという気持ちが固まりつつありましたね。いろいろと報道はありましたが、選手たちも気になるだろうし、どのタイミングで意思表示をするのかを考えていました。信頼しているぞ、ということをまっすぐ選手に伝えたいと思っていたので」

オーバーエイジなしはいつ決断したのか

 2024年5月にパリ行きの切符を手にした時点でリストに残っていたのは2、3人程度だった。程なくして、大岩監督の腹は決まる。6月、テストマッチのためにアメリカ遠征を行ったときには、OAなしでパリ大会に臨む決断をしていた。

 大会終了後に開かれた日本サッカー協会の技術委員会でも、U-23代表を取り巻く環境の変化については議論されている。影山雅永技術委員長は、今後も継続的な議論が必要であると断ったうえで「勝利も選手の成長も求めたい」と話したが、パリ大会で直面したのは、それこそ両方を手に入れることの難しさだった。

 大会に出る以上、まして日本を代表するチームとして出場する以上、結果が求められるのは当然だが、OAを組み入れたチームの編成やトップクラブに所属する海外組の招集は今後ますます困難になるだろう。クラブとのパイプの太さや交渉術の問題ではなく、夏季オリンピックの開催時期という動かしがたい現実が横たわっている限りは。

【次ページ】 五輪でめざすのは勝利か、育成か

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