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大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byNanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama(R)

posted2024/09/26 17:03

大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama(R)

達人は達人を知る。大谷がパフォーマンスのために行なっているだろう「あること」を鈴木尚広コーチが読み解いた

「なんか牽制が来ないぞ、とか、難しいカウントだけど不思議と行けそうな気がする、とかデータには表れない感覚というものがある。投手という相手がいるので、その間にある駆け引きや、空気感みたいなものも常に感じていなければいけない。ですからデータはあくまで参考程度に、自分の感覚を後押しするものとして捉えていました」

 メジャーリーグで二刀流を現実のものとし、記録の数々を塗り替える大谷とは置かれている立場は違うが、同じトップアスリートとして共感し、興味を持っているのが「環境作り」の部分だという。

活躍のための「環境」を自分で作る

「大谷選手は全てにおいて最高のパフォーマンスを保つための環境作りが上手いですよね。走塁ということ一つとってみても、まず瞬発的に判断し、反応できる神経や筋力が必要であって、それを作るためには睡眠や栄養、トレーニングという基盤が大事になってくる。自分を研究して、相手を研究して、最高の環境の中でいいスタートを切るためにはどうしたらいいかを、常にすごく考えているのかな、と思います。そうでなければ、こんな数字なんて残せませんよ」

 鈴木コーチ自身、「代走のスペシャリスト」として活躍した現役時代は、その「環境作り」を意識して試合に向けて準備していたという。

「僕の場合は代走なので、見せ場は3秒ちょっと、ほんの一瞬の勝負のために全ての環境を作っていた感覚でした。出ていくのは大抵、勝負を左右するような局面ですから、チームに勢いを与えるという役割もあるし、相手にプレッシャーをかけるという役割も一つの環境作りです。ファンを引き込むというのも自分の環境作りの一つで、大きな球場をいかに自分のフィールドに持っていくか、ということをテーマの一つとしてやっていました」

【次ページ】 捕手のスローイングの精度が上がっている

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