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大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」

posted2024/09/26 17:03

 
大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama(R)

達人は達人を知る。大谷がパフォーマンスのために行なっているだろう「あること」を鈴木尚広コーチが読み解いた

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Nanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama(R)

「代走のスペシャリスト」として道を極めた巨人の鈴木尚広・二軍外野守備兼走塁コーチが解説する「大谷翔平の50盗塁」。後編は、現役時代のルーティンの秘話や、プロ野球で盗塁が減っている理由について聞いた。<全2回の後編/前編から読む>

  MLB史上初となる同一シーズンでの「50本塁打、50盗塁」を達成し、なおその数字を伸ばし続ける大谷翔平。特に昨シーズンから倍増した盗塁について、鈴木コーチは「必然の数字」と語りその盗塁技術を絶賛する。わずか数秒の動作から伝わってくるのは大谷が相手投手を研究し尽くした上で発揮する洞察力。「能力だけで勝負するのではなく、クレバーな走者というイメージ」と話す。

 現在のメジャーリーグではデータ分析が全盛だ。トラッキングシステムや映像分析を活用して自身の技術向上や対戦相手の攻略に役立てる。大谷もチームのデータを活用して独自に分析しており、走塁面でも有効利用していると思われる。鈴木コーチが現役だった1997年-2016年は今よりその種類は少なかったとはいえ、投球映像や癖などスコアラーが集めたデータは揃っていた。スペシャリストは当時、それをどのように捉え活用していたのか。

鈴木コーチはデータより感覚重視だった

「実は僕はあまりデータっていうものを信用していなかったタイプなんです。データはあくまで、自分の感覚より後に来るものだと捉えていました。もちろん、その感覚を確定させるためにはデータは必要なのかもしれないけれど、数字だけに目が行き過ぎるとそれに引っ張られてしまう。このカウントならいける、この場面は走ってはいけない、とか、自分で決めたことではない部分に引っ張られてしまって、自分の感性が磨かれないと思っていました」

 20年の現役生活で通算228盗塁。2002年の一軍デビュー以来、規定打席に到達することは一度もなかったが、12年連続2桁盗塁という驚くべき数字を残している。一撃必殺の盗塁術は、独自に磨き上げた感性と観察眼、経験に裏打ちされた判断力の賜物だったのだろう。

【次ページ】 活躍のための「環境」を自分で作る

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