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“代走のスペシャリスト”巨人・鈴木尚広コーチが見抜いた“大谷翔平56盗塁の秘密”…「おそらくイチローさんに近い感覚の、クレバーな走者」

posted2024/09/26 17:02

 
“代走のスペシャリスト”巨人・鈴木尚広コーチが見抜いた“大谷翔平56盗塁の秘密”…「おそらくイチローさんに近い感覚の、クレバーな走者」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今季の大谷はなぜこれほど走れるのか。現役時代は盗塁の達人だった、巨人・鈴木尚広コーチにその極意を訊いた

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Nanae Suzuki

 ドジャースの大谷翔平選手が、1シーズンでホームラン50本、50盗塁以上の「50-50」を達成した。メジャーリーグ史上初となる快挙の裏には、昨季までシーズン自己ベストが26個(2021年)だった盗塁数が倍増するという大きな「進化」がある。大谷はなぜ、盗塁を成功させられるのか。現役時代、「代走のスペシャリスト」として道を極めた巨人の鈴木尚広・二軍外野守備兼走塁コーチに聞いた。<全2回の前編/後編を読む>

「大谷選手がなぜ、こんなに盗塁できるのか、ってことですよね?」

 スペシャリストはそう言うと、興味深そうにiPadに目を落とした。事前にいくつか選んであった今シーズンの大谷の盗塁映像の中から1つを選び再生すると、わずか30秒ほど見たところで止め、こう言った。

「もう分かりました」

1本の動画で見抜いた極意

 その映像は、今季48盗塁目をマークした9月11日のカブス戦。四球で出塁した後、2度の牽制をかいくぐり二盗を成功させた場面だ。他にも違う角度からの映像がある旨を伝えても、笑顔でかぶりをふる。

「大丈夫です。これだけ見ればもう、分かりました」

 現役時代、代走での通算盗塁数の日本記録を打ち立てた鈴木コーチが一瞬で見抜いた、大谷の走塁技術の“極み”とは一体、何なのだろうか。

「あくまでの僕の主観ですが……」。そう前置きした上で最初に挙げたのは、大谷がスタートを切ってから加速するまでの動きだった。

「蹴り出しのピッチからの加速がすごくスムーズなんですね。あれだけ身長があって筋量も多ければ、スタートダッシュする時のストライドは普通、とても大きくなるはずです。ところが大谷選手の場合、まずピッチがすごく細かいんです」

【次ページ】 ピッチとストライドを兼ね備えた走り

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