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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama(R)
posted2024/09/26 17:03
達人は達人を知る。大谷がパフォーマンスのために行なっているだろう「あること」を鈴木尚広コーチが読み解いた
出番が来るのは、勝負が動き出す試合終盤が多い。しかし鈴木コーチは現役時代、誰より早く球場入りするのが日課だった。まだ人気の無いスタジアムを一人でぐるりと歩くのがルーティン。そこにはこんな意味があった。
「東京ドームなら、まだ真っ暗で誰もいない球場のグラウンドを1周回る。そうすると試合の中の空間が自分のものになっていく感覚が出来上がっていくんです。コンサートに例えると、大歓声の中、舞台の袖でずっと待っていて場が温まった時に主役がバーンと出ていくでしょ。お客さん側にいて、急にステージに上がってください、と言われてもパフォーマンスなんかできない。それと同じで、自分の空間、自分の舞台というものを作るシミュレーションを常にしていました」
捕手のスローイングの精度が上がっている
プロ野球ではここ数年、盗塁数が減少傾向にある。個人の1シーズン盗塁数は、パ・リーグこそソフトバンクの周東佑京が41(9月25日時点)と群を抜いているが、セ・リーグの盗塁王争いはトップの阪神・近本光司が18(同)、2位のDeNA・梶原昂希が13と低調だ。鈴木コーチは盗塁数減少の原因についてこう分析する。
「僕が一番感じているのは、キャッチャーのスローイングの精度が格段に上がってきているということです。昔は2番手、3番手の捕手であるとガクッと落ちる場合が多かったですが、今はそういうことがない。ファームの試合を見ていても感じるのですが、今の若いキャッチャーは肩が強いし、捕ってから投げるまでのスピードが上がっていますね。もちろん、投手の球速自体が上がっていたり、クイックモーションや牽制の精度も高くなっていることも確かですが、その上でさらにキャッチャーの技術の向上を感じる」