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“レッドブルが買収”大宮アルディージャ「いまのチーム名では最後のシーズンになるかも」選手の本音…J3首位独走「この名前で優勝したい」
posted2024/08/24 11:02
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
黒船来航の次は、結果で注目を集める。
レッドブルへの株式譲渡が発表された大宮アルディージャが、J3リーグで首位を快走している。シーズン開幕から12戦負けなしの好スタートを切り、ここまで24試合を終えて17勝5分2敗だ。得点はリーグ最多、失点はリーグ最少タイで、得失点差はリーグトップのプラス27である。
昇格チームの勝点の目安は、試合数の倍と言われる。24試合では「48」になるが、大宮は現時点で「56」を稼いでいる。2位のアスルクラロ沼津、3位のFC今治には、勝点13差をつけているのだ。
ちなみに、J1首位のFC町田ゼルビアは、27試合消化で勝点53である。J2首位の清水エスパルスも、27試合消化で勝点58だ。カテゴリーが異なるとはいえ、大宮のハイペースぶりが分かるだろう。
「負けることに慣れた選手たち」はどう変わった?
2017年に2度目のJ2降格の憂き目にあった大宮は、翌18年は5位、翌々年は3位とJ1参入プレーオフに進出した。しかし、20年からは2ケタ順位が定位置となっていく。シーズン中の監督交代が繰り返され、選手の入れ替えも激しく、継続的なチーム作りができないのである。23年には22チーム中21位となり、ついにJ3へカテゴリーを落とすこととなった。
苦しむチームの再建を託されたのは、長澤徹監督である。
監督とヘッドコーチとしてJ1からJ3までを知る指揮官は、攻守にハードワークする、切り替えを速くする、ボール際で戦う、といったサッカーの本質を、日々のトレーニングから強調していった。「カテゴリーはJ3でもJ1レベルの練習はできる」を合言葉に、一つひとつのプレーのクオリティも追求していった。
長澤監督は健全な競争も持ち込んだ。トレーニングで周囲を納得させた選手をメンバーにセレクトし、しっかりとアピールをしている選手にはプレータイムを与えた。
練習からスキを見せない姿勢を徹底していくことで、チームの体質が変わっていく。負けることにすっかり慣れてしまった選手たちは、練習から局面のバトルで激しくファイトし、試合では最後まで戦い抜ける集団となってきた。先行逃げ切りの戦いをベースに、終盤にリードを奪って押し切る勝負強さも身につけている。