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高校野球“124人が寮生活”の実態「3年生は個室」「スマホ禁止ルール、なぜ不要?」青森の強豪監督がズバリ…入部時に書く“ある誓約書”
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/08/20 11:06
今年の野球部員は124人。多くの球児が集まる八戸学院光星の仲井宗基監督に聞く「寮生活の実態」(写真はイメージ)
仲井 しかめっ面でやってもしょうがないじゃないとは思います。だから自然に笑顔が出るのはいいと思うんです。慶應の選手たちは、そんな感じでしたよね。普段からああやってるから作られた感じがしなかった。
今春感じた大阪桐蔭“ある異変”
――この春の選抜で大阪桐蔭の西谷監督は劣勢に立たされた選手たちが笑顔でプレーしていたことに対して、明らかに不服そうだったんです。
仲井 観ました。けど、あれはわかるな。西谷さんの気持ちも。笑顔になれそうにないところで、わざわざ笑顔にすんなよということだったんじゃないですか。僕もこんな感じの桐蔭なら勝てそうやなと思いましたから。かつての桐蔭は、そういうときほど強いというイメージがありました。話がちょっと逸れますけど、2012年夏の決勝のとき、大阪桐蔭の1番は森(友哉)だったんですよ。初回、森がスイングしたとき、ブンっていう音がベンチまで聞こえたんです。それだけで恐怖心が芽生えてしまった。怖いな、と。西谷さんの気持ちがぐっと前に出てくると、選手もそれに乗っかってくる。そういう強さがあったけど、最近は、それがなくなってきた気はするんですよ。選手の気質と西谷さんのスタイルのバランスがずれてるのかな。
――笑顔を見せることのいい悪いはわからないんですけど、今までの大阪桐蔭とは違うなという気はしましたよね。
仲井 花巻東も作られている感じのするチームじゃないですか。みんなでわーわー言っていて。あれはあれで徹底してますけど、大谷はそんなことしてなかったですよ。あいつは、そういう強さがあった。絶対に群れないというか。だから、あそこまでの選手になれたんだと思います。西谷さんが感じたのもそこなんじゃないですか。時代の空気みたいなもんに惑わされずに、自分たちの野球を貫けよ、と。
〈つづく〉