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「大谷翔平より藤浪晋太郎が上だった」大阪桐蔭に“打ちのめされた”青森の名物監督が証言「選手の前で言っちゃった」高校生・大谷の本音評
posted2024/08/20 11:05
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
KYODO
◆◆◆
選手の前で思わず…「言っちゃったんです」
――仲井さんがこれまで対戦してきた投手の中で、いちばんすごいと感じたのは誰ですか。
仲井 やっぱりね、藤浪(晋太郎=メッツ傘下シラキュース)。
――大阪桐蔭の春夏連覇の立役者ですもんね。光星学院は2012年、春夏連続で甲子園の決勝で大阪桐蔭とぶつかり、春は3-7、夏は0-3で敗れています。藤浪と言えば、同学年に大谷翔平(ドジャース)がいました。同じ東北エリアですから大谷とも何度も試合はしているわけですよね。
仲井 練習試合はしょっちゅうやっていました。ただ、投手としての完成度は低かったですから。大谷はまだ自分を制御し切れていなかったというか、ボールが高めに浮きがちだった。なので、うちのバッターもけっこう打っていました。
――甲子園のあとに行われた世界大会で藤浪、大谷ともに日本代表に選ばれましたが、ここぞという試合は全部、藤浪が投げていました。あの時点では、明らかに藤浪の方が上だったんでしょうね。
仲井 うちはあの年、ラッキーで春夏ともに甲子園で準優勝しましたけど、春夏連続で甲子園に出るだけでも本当に大変なんですよ。夏の青森大会もうちはギリギリだったんです。選抜のあと、バッティングがぜんぜん上がってこなくて。だから夏は、正直なところ、出られただけでもよかったなぐらいの感じだったんです。選手にも楽しんでやろう、ぐらいのことを言っていて。その年、大阪桐蔭は初戦で木更津総合(千葉)とぶつかったんです。それを宿舎で選手たちと一緒に観てたんですけど、藤浪が春とは別人のようになっていて。「こんなん打てるわけないな。絶対、無理やぞ」って言っちゃったんです。
――思わず本音が……。
仲井 はあ、俺、言っちゃってるな、って。そのときは、まさか決勝まで行けるなんて思ってなかったんで。
中学生・大谷は「知らなかった」
――藤浪は別人になっていましたか。