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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「今回のパリ五輪は日本サッカーの分岐点に」中村憲剛が展望する“これからの五輪世代との向き合い方”「中心選手を招集できなかったとしても…」
posted2024/08/07 11:04
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
パリ五輪の準々決勝でスペインに敗れ、U-23サッカー日本代表のメダルへの挑戦は幕を閉じた。グループリーグを3戦全勝、無失点で乗り切ったものの、世界屈指の強豪との一発勝負で“違い”を見せつけられた。
議論を呼んだオーバーエイジや中心選手の不在は、この結果にどう作用したのか。元日本代表MF中村憲剛氏が、大会を通じて見えてきた「日本サッカーのこれから」を展望する。(全2回の2回目/前編へ)
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オーバーエイジがいたら結果は変わっていたのか?
グループリーグで対戦したパラグアイ、マリ、イスラエルは、スペインのように国単位で長い年月をかけてシステムを突き詰めているわけではない。国としてのスタイルはありますが、監督によって戦術のストーリーは違ってくる。
そういう国には4-3-3でも対抗できる。それは今大会でもしっかりと示してくれました。
一方で、スペインと4-3-3で伍して戦うなら、4-3-3を国単位で長い年月をかけて突き詰めていかなければならない。これは、率直に言って簡単ではありません。こちらが年月をかければ、彼らも同じ時間をかけて突き詰めていくので、追いつき、追い越すことは至難の業になります。
つまり、対スペインの戦術や戦略は、世界のトップ・オブ・トップと戦うこととはまた別の話になってきてしまいます。だからこそ、今回の試合を総括することは、とても難しいのです。
オーバーエイジ(OA)がいたら、スペイン戦の結果は違っていたか──。グループリーグの段階では「OAの不在はマイナスではない」と書きましたので、スペイン戦を受けての印象にも触れておきます。
日本はグループリーグ3試合を無失点で乗り切り、スペイン戦の前半に初めて失点しました。大会初失点で多少なりとも動揺したところはあったでしょうし、次の1点が勝負を分けるのは理解しながらも、73分にCKからやられてしまった。
ここで、強烈なキャプテンシーを持つOAがいたら。その後の展開が変わっていたかもしれない、というのはあります。これはもう、可能性の話でしかないのですが。