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〈ロッテ15戦無敗の不思議〉なぜスター不在の戦力も「接戦の終盤・延長だと異様に粘る」のか…岡大海と小川龍成、角中勝也のシブい働き
posted2024/06/05 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
6月2日の阪神戦は0-1で惜敗、4日の巨人戦で2-18のショッキングな大敗を喫したとはいえ、ロッテは5月14日以来、半月以上も負けなかった。今季のパ・リーグの序盤戦は、ソフトバンクが圧倒的な強さで突っ走ったが、ここへきてロッテが有力な対抗馬になりつつある。
ロッテの成績が「記録屋泣かせ」なワケ
しかし、今年のロッテの成績は「記録屋泣かせ」である。
連勝が止まった6月2日終了時点(以下すべて同じ)で27勝19敗5分、勝率.587、首位ソフトバンクとは5.0差だが、チーム成績は以下の通り。
打率.247(3位)本塁打24(4位)打点152(5位)盗塁18(6位)OPS.651(3位)
防御率2.72(2位タイ)13セーブ(2位)47ホールド(3位タイ)388奪三振(2位)
傑出した部分がほぼないのだ。
個人成績を見ても……
〈打者〉
岡大海/打率.263(11位)5本16点8盗OPS.788(6位)
ソト/打率.253(14位)5本24点0盗OPS.700(14位)
ポランコ/打率.230(24位)6本14点0盗OPS.687(16位)
中村奨吾/打率.219(27位)1本9点0盗OPS.552(28位)
リーグ全体が投高とはいえ、3割に遠く及ばない打者ばかり。OPSも強打者の証である8割に達した打者はいない。ともに本塁打王のタイトルを取ったことのあるソト、ポランコの両外国人は、2人合わせて12本45打点のソフトバンク、山川穂高に及ばない。
〈先発投手〉
メルセデス/1勝2敗56回 率1.45(1位)
佐々木朗希/4勝2敗53.2回率2.18(6位)
小島和哉/4勝3敗62.1回率2.74(9位)
種市篤暉/3勝3敗57.1回率2.98(11位)
リーグ最多の先発投手4枚が規定投球回数に達している。しかしメルセデスは味方の援護なく1勝。そして今季の佐々木は160km/hオーバーの速球はそれほど多くなく「安全運転」の印象がある。良い先発陣ではあるが、決して傑出しているわけではない。
〈救援投手〉
益田直也/15登1勝2敗7S2H14.1回 率3.77
鈴木昭汰/21登1勝0敗3S8H19.1回 率0.00
横山陸人/7登1勝1敗2S2H6.1回 率2.84
澤田圭佑/18登2勝0敗0S8H17回 率1.06
澤村拓一/16登0勝1敗0S10H12回 率4.50
クローザーの益田、セットアッパーの澤村は経験豊かなベテランだが、防御率はさえない。新鋭の鈴木が頑張っているものの、ここまでの成績だけを見る限り、上位チームとは言えない。
なぜこの陣容で「15戦負けなし」の快進撃ができた?
ではなぜ、この陣容でロッテは「15戦負けなし」という快進撃を続けられたのか。
ひとつ、ピタゴラス勝率という指標を紹介する。