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〈ロッテ15戦無敗の不思議〉なぜスター不在の戦力も「接戦の終盤・延長だと異様に粘る」のか…岡大海と小川龍成、角中勝也のシブい働き 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/06/05 06:00

〈ロッテ15戦無敗の不思議〉なぜスター不在の戦力も「接戦の終盤・延長だと異様に粘る」のか…岡大海と小川龍成、角中勝也のシブい働き<Number Web> photograph by Kyodo News

10連勝目、殊勲の小川龍成に水をかけるロッテナイン。“記録屋泣かせ”の異常な粘り強さ、その要因とは

 岡大海 2
 小川龍成 2
 ソト 2
 友杉篤輝 1
 中村奨吾 1
 佐藤都志也 1
 角中勝也 1
 愛斗 1

 見事にバラけている。スーパースターが決着をつけるのではなく、打線の「誰か」が日替わりでヒーローになっているのだ。

 中でも岡大海は――日本ハム時代はアニメ『エースをねらえ!』の登場曲が話題になったが――レギュラーに定着できなかった。ロッテに来て7年目、選球眼とパンチ力を秘めたしぶとい打撃、堅実な外野守備で実に「いやらしい選手」になった。今季は荻野貴司に代わって1番を打つケースが増えた中で「何とかしてくれる」という期待にこたえるシーンが多くなっている。

 そして中堅どころの年齢になった小川龍成は「9番二塁」で起用されることが多く、25安打中7本が内野安打。ファウルで粘りながら、打ち取ったはずが一塁に生きたり、セーフティバントやボテボテの当たりの安打で打点を稼いだり、泥臭い活躍が目立っている。

 さらに18年目、37歳の角中勝也は、バットを短く持ってしぶとく投手に向かっていく打撃で今季打率は.383、こういう渋い打者がロッテベンチには控えている。

大黒柱がいなくても、ペナントを面白くするはず

 昨年終盤に手の付けられない打棒を見せたポランコはまだ低打率だが、ソトの加入もあってこれから活躍が期待できる。「エール!コーヒー」と「バーモ!ネフタリ」という2人の応援コールが不気味な反響を呼ぶ中、外国人打者が本領を発揮するのはこれからだろう。

 ロッテの強みは「大黒柱」がいないことになるだろうか。吉井監督は「今、調子のよい選手」を繰り出してここまで好調を維持してきた。

 上を走るソフトバンクは、絶対的な中心打者の柳田悠岐が負傷して長期離脱を余儀なくされたが、ロッテは、そういう突然の戦力ダウンのリスクが少ないのが強みだといえる。

 1敗こそしたものの士気は高いはずだ。今後のペナントレースを面白くするのは、間違いなくロッテだろう。

週間成績セ:ロッテに勝った阪神がようやく連敗ストップ

【2024年5月27日~6月2日 週間成績】
〈セ・リーグ〉
・今季成績
 巨 人54試27勝23敗4分 率.540
 広 島49試24勝21敗4分 率.533
 阪 神53試26勝23敗4分 率.531
 中 日53試23勝25敗5分 率.479
 DeNA52試24勝27敗1分 率.471
 ヤクルト52試19勝29敗4分 率.396

9週目の成績
 巨 人6試4勝2敗0分 率.667
 DeNA6試3勝3敗0分 率.500
 中 日6試3勝3敗0分 率.500
 広 島6試2勝4敗0分 率.333
 ヤクルト6試1勝3敗2分 率.250
 阪 神5試1勝4敗0分 率.200

 交流戦に入り、セは14勝19敗2分と負け越しているので勝ち越しは巨人だけ。阪神がロッテに1勝するまで5連敗した。

〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標、RC=Runs Created順
 長岡秀樹(ヤ)26打11安1本6点0盗 率.423 RC6.37
 丸佳浩(巨)24打10安0本2点0盗 率.417 RC5.65
 近本光司(神)18打7安0本0点1盗 率.389 RC5.17
 吉川尚輝(巨)26打10安0本5点1盗 率.385 RC5.16
 ヘルナンデス(巨)24打9安1本5点0盗 率.375 RC4.86

 守備の人の印象が強い長岡が今季は打撃開眼。巨人の新外国人、ヘルナンデスは順調な滑り出し。本塁打はDeNA宮﨑敏郎と中日ディカーソンの2、打点はヤクルト長岡、DeNA宮﨑の6、盗塁は中日福永裕基と巨人重信慎之介の2。

〈投手成績5傑〉※リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順
 才木浩人(神)1登1勝9回 責0率0.00 PR2.77
 髙橋宏斗(中)1登1勝7.1回 責0率0.00 PR2.26
 大瀬良大地(広)1登7回 責0率0.00 PR2.15
 森下暢仁(広)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.15
 菅野智之(巨)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.15

 阪神の才木は6月2日のロッテ戦でチームの連敗を5でストップし、ロッテの12連勝を阻止する完封勝利。救援では中日のマルティネスが3セーブ、巨人の高梨雄平と中日の清水達也が3ホールドを挙げた。ヤクルトの石川雅規は2日の楽天戦で5回(雨天コールド)、史上2位の44歳4カ月での完封勝利。史上初の入団から23年連続勝利も記録した。

週間成績パ:日本ハムの水谷、田宮、水野が好調

〈パ・リーグ〉
・今季成績
 ソフトバンク50試33勝15敗2分 率.688
 ロッテ51試27勝19敗5分 率.587
 日本ハム50試28勝20敗2分 率.583
 楽 天51試22勝28敗1分 率.440
 オリックス52試21勝29敗2分 率.420
 西 武51試18勝33敗0分 率.353

・9週目の成績
 ロッテ6試3勝1敗2分 率.750
 ソフトバンク6試4勝2敗0分 率.667
 楽 天6試4勝2敗0分 率.667
 日本ハム5試3勝2敗0分 率.600
 西 武6試3勝3敗0分 率.500
 オリックス6試2勝4敗0分 率.333

 ロッテは連勝が止まったがこの週も首位。負け越したのはオリックスだけ。

〈打撃成績5傑〉
 水谷瞬(日)19打11安1本5点 率.579 RC7.40
 田宮裕涼(日)17打8安1本3点 率.471 RC6.09
 小川龍成(ロ)22打9安3点 率.409 RC5.35
 水野達稀(日)18打6安1本6点 率.333 RC5.16
 頓宮裕真(オ)15打5安4点 率.333 RC4.75

 現役ドラフトでソフトバンクから移籍した水谷がプロ入り初本塁打を含む11安打の大暴れ。同じく田宮も好調を維持。本塁打はソフトバンク近藤健介、楽天の村林一輝が2本塁打。打点は日本ハム水野の6が最多。盗塁は楽天の辰己涼介が3回成功している。

〈投手成績5傑〉
 隅田知一郎(西)1登1勝8回 責0率0.00 PR2.33
 カスティーヨ(オ)1登7回 責0率0.00 PR2.04
 曽谷龍平(オ)1登7回 責0率0.00 PR2.04
 大関友久(SB)1登7回 責0率0.00 PR2.04
 大津亮介(SB)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.04
 山﨑福也(日)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.04

 西武の隅田は5月29日の中日戦で8回零封。5投手が7回零封。救援ではソフトバンクのオスナが3セーブ、オリックスの古田島成龍など7投手が2ホールドを挙げた。

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