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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平に注目が集まりがち「打球速度」だが…同学年カブス鈴木誠也29歳も“ムキムキ肉体改造”でメジャートップ級に急上昇していた
posted2024/05/13 17:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki,Michael Reaves/Getty Images
カブスの鈴木誠也は、開幕から好調を維持し、15試合の時点で打率.305、3本塁打13打点を記録していた。しかし4月14日の試合後、右わき腹痛でIL(負傷者リスト)入りが発表された。
大谷だけが「メジャーでの成績が上がっている」
筆者はこのコラムで「NPBからMLBに移籍した選手は、投打ともに小型化する」ことを紹介してきた。
実質的に初めてMLBに挑戦した野茂英雄も、打者としての最初の挑戦者だったイチローも、スラッガーの松井秀喜も、すべてMLBの成績のほうが、NPBよりも下がっている。
それがNPBとMLBの格差というものであり、日本人選手はその高い壁を乗り越えて、NPB時代の成績の目減りを何とか最小限にするために、プレースタイルを変え、肉体改造をしてきた。
しかし大谷翔平だけは例外だった。
〈打者成績〉
NPB 打率.286 OPS.859 本塁打率21.56
MLB 打率.279 OPS.932 本塁打率14.50
〈投手成績〉
NPB 防御率2.52 K9 10.3 K/BB 3.12
MLB 防御率3.01 K9 11.4 K/BB 3.51
打者としては打率こそNPB時代より下がったが、より重要なOPS(長打率+出塁率)や、本塁打率(打数÷本塁打)などの指標では、MLBのほうが上になっている。
また投手としても、防御率はNPB時代のほうが良いが、パワーピッチャーの指標であるK9(9イニング当たりの奪三振数)や、安定感を示すK/BB(奪三振÷与四球)では、MLBに移籍してからのほうが上回っている。
つまり、大谷は打者としても投手としてもパワーアップしたのだ。その一方で、他に大谷のような例はなかった。
しかし大谷と同学年である鈴木誠也は今季、ひょっとすると? と思わせる成績でスタートを切っていた。
誠也は成績だけでなく、打球速度が急上昇している
広島東洋カープから移籍して3年目の鈴木のデータを追いかけてみよう。
NPB時代通算
(9年間)打率.315 OPS.985 本塁打率16.35
MLB移籍後
2022年 打率.262 OPS.770 本塁打率28.36
2023年 打率.285 OPS.842 本塁打率25.75
2024年 打率.313 OPS.894 本塁打率20.67
まだNPB時代の数字には及ばないが、打率もOPSも本塁打率も年を追って着実に上昇していることがわかる。