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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
〈サッカー五輪代表18人予想〉「第一候補の冨安健洋、久保建英」だけでなく…日本通ブラジル人記者が推す「意外だが有益なOA枠候補」とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/05/06 11:03
オーバーエイジ候補に名前が挙がる冨安健洋、年齢的にパリ世代の久保建英……ブラジル人記者が“縛りなし”で五輪メンバー18人を選べるとしたら、どんな面々になった?
例えば、今年初めのアジアカップでGK鈴木彩艶(シント・トロイデン)がミスをした際、人種差別的な批判が少なからずあった。この大会で藤田と小久保が同様の批判を受けなかったのは、2人が文句の付けようがないプレーをしたからだ。
とはいえ、日本社会は少しずつ人種的な寛容さを高めており、その点では韓国や中国より先を歩いていると思う。今回の藤田と小久保の活躍でその傾向がさらに強まるようであれば、日本のスポーツ界、さらには日本社会全体にとっても好ましいことなんじゃないかな」
大岩監督のマネジメント、協会のサポートも◎
――大岩剛監督のチームマネジメントをどう評価しますか?
「2017年から2019年まで鹿島アントラーズを指揮して、2018年のアジアチャンピオンズリーグを制覇したわけだけど、Jリーグでは上位には食い込めても優勝はできなかった。
でも、2021年からこの世代のチームの監督を務め、時間をかけてチームを作り上げ、采配面でも能力を発揮した。今回の優勝で、指導者としてのステータスを一気に高めたと思う」
――日本サッカー協会のサポートも見逃せない。
「3年前に大岩監督を招聘し、2年前のU-23アジアカップにあえてU-21代表で参加した。昨年のアジア大会にもね。〈U-24にオーバーエイジ(OA)3人を招集可能〉というレギュレーションを度外視し、パリ五輪への準備を優先してこの世代の選手によるチームで参加するなど、長期的な視野で強化を進めてきた。2022年のU-23アジアカップにU-21代表で臨んだ日本とウズベキスタンが今大会の決勝を戦ったのは決して偶然ではないと思う」
従来のアジア列強で力を発揮したのは日本だけだった
――準々決勝でインドネシアの前に敗退した韓国では「日本の長期的な視野による準備を見習うべきだ」という議論があるようです。
「日本は、2013年にU-22アジアカップ(2016年以降、U-23の大会となった)が創設されたときからずっとこのやり方。気付くのがちょっと遅いね(笑)」
――ウズベキスタン、インドネシア、ベトナムなどの躍進で「アジアのレベルが向上した」という声がある。