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〈サッカー五輪代表18人予想〉「第一候補の冨安健洋、久保建英」だけでなく…日本通ブラジル人記者が推す「意外だが有益なOA枠候補」とは
posted2024/05/06 11:03
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Kiichi Matsumoto
決勝戦後の表彰式で、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)が大会MVPに選ばれて満面の笑みを浮かべた。チアゴ・ボンテンポ記者(38)は彼の働きについて絶賛するとともに、今大会の日本代表についても掘り下げて分析した。
藤田は遠藤航の後継候補、山田は秀逸なFKキッカー
――この大会で日本で最高のプレーをみせたのは、やはり藤田でしょうか?
「もちろんだ。国際大会で選出されるMVPは『あれっ?』と思うことが多いんだけど、今回に関しては妥当だった(笑)。守備でも攻撃でも、そしてリーダーシップの点でも素晴らしかった。近い将来、日本代表にとって非常に重要な戦力になるはず。遠藤航(リバプール)の後継者候補だ。
彼に次ぐのが、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)。すべての試合で、ほぼ完璧なプレーをした。もし決勝で彼がPKを止めていなかったら、と考えると背筋が寒くなる(笑)。CB高井幸大(川崎フロンターレ)はチーム最年少の19歳でありながら、193cmの長身で空中戦に強く、当たり負けしない。足元の技術も高く、攻撃の起点となれる。決勝戦の得点も、彼のボール奪取と攻め上がりから生まれた。
攻撃陣では、この大会で2得点をあげた山田楓喜(東京ヴェルディ)が光った。右サイドでチャンスを作れ、決定力が高い。久々に日本に現われた秀逸なFKキッカーでもある」
――大会を通じて、チームに最も貢献した選手の多くが守備の選手だったというわけですね。
「これは、このチームが守備に特長があり、逆に言えば攻撃陣が少し物足りなかったことを物語る。ただ、それは必ずしも攻撃陣がタレント不足だったことを意味しない。A代表の常連のMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)を招集できなかった仕方がないとして、欧州で活躍している鈴木唯人(22、ブレンビー)、福田師王(20、ボルシアMG)といったアタッカーを招集できなかった」
藤田と小久保の好プレーと“寛容性”
――藤田と小久保は、日本以外の国にもルーツを持つ選手です。このチームでは、控えGKの野澤大志ブランドン(FC東京)も同様。今大会でインドネシアには旧宗主国オランダ生まれの選手がいましたが、韓国や中国ではダブルルーツを持つ選手は多くない。
「日本では以前からフットボールに限らず、テニスの大坂なおみ、バスケットボールの八村塁、陸上短距離のスプリンターたち、プロ野球などでも多くのダブルルーツの選手が活躍しているよね。
日本が人種面で非常に寛容な社会、とは言い難いかもしれない。