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サッカー五輪代表OA枠「三笘薫、中村敬斗と…前線の衝撃だ」トルシエが推す“意外な3人”「15歳時に初めて見た」藤田譲瑠チマとの縁も明かす
posted2024/05/07 11:13
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
JIJI PRESS
パリ五輪を目指すU-23日本代表の戦いぶりと選手について、フィリップ・トルシエに“お世辞抜き”で論評してもらうシリーズ。最終回の今回は、試合終了まで勝利の行方がわからなかったウズベキスタン戦である。ウズベキスタンのクオリティの高さと強さに誰もが驚いた試合を、トルシエはどう見たのか。またパリ五輪での日本のメダルの可能性を、アジアカップから続くアジアサッカーの変化を、トルシエはどう感じているのか。
日本の育成、素晴らしい仕事をした協会の勝利だ
――試合は見ましたか?
「ああ、難しい試合だったし本当に闘っていた。しかも決勝だから、そこには計算もあれば駆け引きもあった。特に前半はそれが顕著だった。
しかし両チームの哲学はともにボールをコントロールすることで、日本はコレクティブなプレーでボールを支配して見事なスタートを切った。しかしすぐにウズベキスタンの反撃にあった。ウズベキスタンの方が日本より少し成熟し、熟達していてパスのタイミングも的確だった。デュエルも優勢でパンチを繰り出すタイミングでも優っていた。それに対して日本は受け身に回り、ボールが保持できずにロングパスの攻撃に頼らざるを得なかった。
後半はより拮抗し、ほぼ互角の展開になった。先制点を挙げた方が大きく勝利に近づく。だからこそ最初に得点する必要があった。日本は選手交代が功を奏した」
――しかしその後ピンチを迎えます。
「たしかにPKは仕方がなかった。関根大輝は明らかにハンドを犯していたのだから。日本にとって最大のピンチで、同点になっていたら、結果はどちらに転んだかまったくわからなかった。
どちらにも勝つチャンスはあったし勝利に値した。だがPKをストップした日本には運があった。最終的に日本が勝利を収めたが、素晴らしい勝利だった。というのも選手の選考に関して、日本はベストチームを選考できたわけではなかったからだ。この勝利は日本協会のポリティックスの勝利であり、育成政策の勝利でもある。ベストの選手を招集できなくとも優れた日本代表を編成し、カタールに送り込んだのだから。コレクティブで連帯感に溢れた規律の高いチームだ。監督はその点で素晴らしい仕事をした。
繰り返すが日本の育成の勝利であり、ここまで素晴らしい仕事をしてきた協会の勝利だ。選手は素晴らしいトレーニングと教育を受け、フィジカルも申し分なく技術レベルも高かった。7割以上の選手が国内組で、五輪出場権を獲得してU-23アジアカップも制した。大会を通して本当に素晴らしいパフォーマンスだった」
大会MVPの藤田を高く評価しているワケ
――試合に関してもう少し話してください。後半の日本は選手を代えずに戦い方を少し変えました。