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野球クロスロードBACK NUMBER
センバツ甲子園“飛ばないバット”騒動…現場の監督たちはどう見た?「フライは失速、ライナーは伸びる」「木製バットに近づいた」「値段が高い」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNanae Suzuki
posted2024/03/29 11:05
今大会で甲子園勝利数が最多となった大阪桐蔭の西谷浩一監督。名伯楽は新基準の“飛ばないバット”をどう見たのか…?
「木のバットに近い」「守備位置にも影響が」
◆大角健二監督(兵庫・報徳学園高)
「上がった打球は飛ばないですが、ライナーは伸びる印象がありました。(守備では)今日のゲームでは特に変更はありませんでしたけど、相手(愛工大名電高)が追い込まれたらカットしてくるなどバッティングスタイルを変えてきたので、試合によってはバッテリーの配球面を考えていかないといけないと感じました。守備でのポジショニングも相手の打球傾向などを見て、その都度、判断していくようにします」
◆倉野光生監督(愛知・愛工大名電高)
「甲子園での他の試合を見て感じるのは、外野の位置がだいぶ前だということ。打球がほとんど飛ばなくなり、木に近いようになったと思います。選手は今までの金属みたいにバットをぶん回すのではなく、木製のようにしっかりボールを捉えるような振りにしたほうがいいでしょう。選手の技術向上に繋がるので、このままでいいと思います」
◆島田直也監督(茨城・常総学院高)
「『飛ばない』とよく言われていますが、打撃に関してはチームにセンター返しを意識させていますんで、飛ばないという印象は持ちませんでした。『木製バットに近くなった』とも言われていますが、上半身だけの力に頼ってしまうと飛ばないですよね。なので、下半身をしっかり使って打つ技術は必要になってくるかと思います。守備に関しては、打球が飛ばなくなってきたこともあるので、各バッターのスイングの速さなどを見極めてポジションを変えたり、対策はするようになりました」
◆
「木製バットに近くなった――」
そう答える監督が多かった。
これまで強打を印象付けてきたチームが送りバントを駆使し、2ストライクまで追い込まれたバッターがファウルでカットするなど小技で対応する。もともと機動力を売りにしてきたチームは、エンドランやダブルスチールと脚を絡めた攻撃により磨きをかける。
1回戦を終えてわずか2本というホームラン数が物語るように、単打が増え、フライによるロングヒットが減少した。
「野球が変わった」
そういった見方はあるのかもしれないが、断定するのは早計である。監督たちが打ち出す、春の最適解を見届けようではないか。
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