甲子園の風BACK NUMBER
専用グラウンド、室内練習場もバスもナシ、ノックの方向は「他の部活を気にしつつ」…でも全国屈指の名門野球部・報徳学園“堅守”のナゾを追う
posted2024/03/27 17:05
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
今春のセンバツの初戦の愛工大名電戦。愛工大名電・伊東尚輝。報徳学園・今朝丸裕喜の先発両右腕の投手戦は引き締まった展開となったが、試合を盛り上げたのは報徳学園の再三にわたる好守備だった。
「その打球もアウトにするのか」と、見る者がため息をついてしまうほど堅い守備が何度もチームの窮地を救った。
準優勝した昨春のセンバツでも、遊撃手の竹内颯平(神戸学院大進学予定)を中心とした堅い守備が印象的だった。
ラグビー部や陸上部と共用のグラウンド
春夏計38回の甲子園出場を誇り、春は2度、夏は1度全国制覇の経験があるが、報徳学園には野球部の専用グラウンドはない。練習場は、校内にあるグラウンドだ。
内野はきれいな黒土だが、外野に視線をやると全国大会常連のラグビー部や陸上部の部員が走り回る光景が目につく。外野ノックは特に制限を設けている訳ではないが「外野ノックを打つ時はラグビー部員など他の部員がいる場所にいかないように気を遣っています」という。
いわゆる“学校の部活”という光景が広がる報徳学園の練習場。もっと言えば、室内練習場も野球部専用バスも所有しない名門校は、全国でもおそらく稀だろう。
“グラウンド”とはいえ、野球部としての練習環境で言えば決して恵まれた方ではない。
そんな環境下での守備練習で工夫していることはあるのか――。